異能の激闘と異種の絆が、昭和の闇に乱れ咲く。圧倒的没入感の傑作活劇!

「こんなに面白くて完成度高いのに、全然見つかってないんだが……!?」というのが、レビュー投稿時点の正直な感想です。

日本の歴史の裏側には、人を喰らう怨魔と戦う忍たちがいた……という設定の和風伝奇活劇。

抜け忍のサラリーマンと、魔でありつつも人を喰わない乙女。力に恵まれぬ半端者たちが、手を取り合ったことで正義の心を実現できるという、異種同士ながらも王道なバディが物語の中心です。

忍や魔による異能力のバトルは、和風ロマンを薫らせつつも緻密に練られています。生身アクションと幻想的表現、そして手に汗握る駆け引きで彩られた激闘は絶品。

加えて、ファンタジー要素とリアルとの巧妙な接続も大きな魅力です。
高度経済成長期という時代を舞台に「本当にこんな存在があったかもしれない」と思わせる説得力が面白いですし、そこかしこに覗くレトロ感も魅力。

そして、戦争の存在に真摯に向き合った物語でもあります。
激動に巻き込まれたのは、人も魔も同じ。
戦災ゆえに地獄を背負ってしまった者たちの愛憎が、悲しき対峙が、克明に描かれます。

「もはや戦後ではない」と言われた時代だろうと、あるいは現在だろうと消えることない、戦争の傷跡。そのリアルを描いたことで、重みと深みの宿ったファンタジーとなっています。

とにかくめっちゃ面白いですし、これが好きな人にちゃんと届いてほしい~!と願わずにはいられない傑作です。ぜひ、お見逃しなく。