第3話 異世界とただいま地球


入学式当日。

新たな門出に胸を膨らませ、ドアを開けたら異世界でした。


「は?」


おかしい。だって中世ヨーロッパ的な風景。

服装。人種。剣とか現代社会だと銃刀法違反で速攻逮捕だし。

これはもしかして、もしかすると、異世界転移とゆうアレかな?『死なないでね』ってもしかしてこれ?紳士のたしなみとして、知識としてあるけど、現実は…


「神よ、私は10万円しか持っていないのだ。どうしろと?!」


叫んだ瞬間、目の前が一気に白くなって私は、気を失った。







目が覚めると目の前にあの神がいる。


「どうかな?目が覚めたかい?」


少しフラフラするな。

体に力が入らない。寝転がった状態から起き上がれない。


「あぁ、無理して起きなくていい。君は僕を呼ぶのにだいぶ能力を使ったからね」


ここはどこなんだ?


「うーん、君と僕だけがいる空間かな?」


何でこんなところに?


「何でって君が呼んだじゃないか!」


呼んだ?


「そうさ!思いっきり道のど真ん中で叫んでたじゃないか!」


聞こえてたのか…では


「うん、なぜ異世界に?とか何で?とか聞きたいだろうから、説明しよう!」


「ここは異世界、パラレルワールドとも言える。最近の子はこうゆうの好きだよね。

俺TUEEE系、ハーレム、異世界物。

なら、そっくりそのままこの異世界を地球に上書きしようかな?って思ったわけさ。

でもそれを実行するのは簡単だけど、つまらない。

だから、地球代表人類の抵抗のチャンスをあげた。

それが異能力授与さ。

彼らにはクエストを与えている。異世界の上書きを止めて欲しいなら、クリアして見せろ!ってね。


上書きをすることが悪いこと、と言うわけではない。未知の文化の来襲、文明開化と明るい未来があるかも知れない。

いやもしかしたら、地球が上書きされて無くなっちゃうかも。

君は、君は異世界肯定派?否定派?どちらにせよやることは1つ。


殲滅さ。君たちは派閥ごとに争い、1つだけの派閥になったとき、その未来が訪れる。


君はどちら派だい?

すぐに決められないだろうから、しばらくこの異世界、トーラムに滞在すればいい。

地球に還る場合は…」


そこで神は一呼吸して、すぐに意地の悪い笑顔をつくる。


「死ねばいい」


「それじゃあ、必要なことは大体しゃべったかな?

さあ 、僕を楽しませてくれ!」


瞬間光に包まれ、目を閉じ開けば元の異世界に戻っていた。


五秒、十秒と思考して周囲が私をおかしな者を見る目で見てくる頃に、結論に達した。

直ぐに足を動かし、目的の店を探す。

剣を持っている奴がいるんだ。だから無いわけがない。目的の店はあった。


「いらっしゃい、ドワーフの工房にようこそ」


「この店で一番切れ味の鋭い剣を見せてくれ」


もちろん、ドワーフの店員はいぶかしむが、客なので持ってきてくれる。

ふむ、よい剣だ。(適当


「こちらアダマンタイトをふんだんに使った、東洋のカタナとゆう武器だ。

お客さん、東洋人だろ?値段は100万ゼニーだけど、おまけして70万ゼニーにしてやるよ。どうだい?」


「すこし素振りをしたい。離れてくれないか?」


私は、店員を離れさせカタナを上段に構える。

別に私はこのカタナを買う気はない。

私は構えたカタナの刃を横に向け、そのまま自分の首をかっ切った。


「おっお客さん!?」


ブシュッと音を立て首から鮮血があふれでて止まらない。

激しい痛みに血が抜け、冷えていく身体の温度を感じる。

そして、意識は暗く深い穴に落ちていくように消えた。




まぶたの隙間から入ってくる、光に意識はゆっくり覚醒していく。

眼に写る景色は、見慣れたドアの先の景色。


「還れたのか?」


財布を確認すると、有り金すべてが無くなっていた。


「………あの神、一度金の重要性について骨の髄まで説いてやる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カネこそ至高。人生はカネ次第 @bokura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る