第2話 神様と異能力 やっぱりカネは至高でした
退屈だった。ただ下界を見下ろしているだけの管理者としての生活は飽き飽きしていた。
自分は下界から見れば"神"と呼ばれる存在だが、何てことはない、ただの暇をもて余した神だ。
ある日ふと、ほんの気まぐれ、ちょっとしたイタズラをしてみたくなった。
結果は上々。下界に干渉する楽しさを覚えた。
恐れおののいたり、崇めたてまつわれたり、逆に自分が、たかが人類に恐怖したり、今までの退屈な時間が一気に刺激的になった。
今日も一人。新たな能力者を目覚めさせ、面白おかしい世界を作ろうと、彼の前に立って、心の底から笑顔で
「君に異能力を授けよう!」
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朝起きて、株を調べて、朝飯を食べて、財布に10万円あるか確認して、パジャマから着替えたとこまではいつものルーチンである。
目の前に急に現れた男は、いきなり頭のぶっ飛んだ事を言ってきたが、驚きは顔に出さない。心は常に冷静に。
多分、最近世の中を騒がしている能力者多発事件は、この変なやつのせいだと見当をつける。
でなければ、ただの不法侵入だし、目の前に急に現れた説明がつかない。努めて冷静に問う。
「どんな異能力を授けてくれるんですか?」
目の前の変なやつは、一瞬目を見開くとすぐに、柔和な笑顔に切り替わる。
「動じないんだね」
「慌てることは、思考を鈍らせますから」
敬語になってしまった。笑顔なのにどこか人間離れした、ナニかを感じる。
「どんな異能力がいいのか、要望をくれるかな」
カネだ。と喉まで出かかったが、堪える。これは一生を左右する重大な分岐点。それを安易に決めると、後々後悔してしまう。こうゆうのは、今までの人生と信条とチートをどれだけ理解しているかに懸かっている。黙考2秒。結論カネ。カネこそ至高。カネで買えないものはない。答えは決まった。
「カネ関係の能力がいい。何でも買えるとかチート系がいい」
「お、おう。熱意が凄いな」
私には何も見えないが、変なやつは、虚空に手をスクロールして、何かを探している。
「これなんかいいんじゃない?『商売』と『査定』」
『商売』 カネを支払うことで、森羅万象あらゆるものが購入できる。値段は公平かつ厳正に決められる。交渉による値切り可能。
『査定』 森羅万象あらゆる見たものの値段を見ることが出来る。
「その2つ能力、欲しいです」
「はい、どうぞ」
特に体に変化はなく、これといった違和感がない。
「ちょっと目を凝らして、そのパソコンを見てごらん」
パソコンは、1年前に買った当時の最新で40万円した。今は株や情報収集に使っている。
目を凝らして見てみると、先程まで何もなかったのにピッ、と小さく電子音がすると
「20万円?」
「そう、それがそのパソコンの現在の価値。そして『査定』の能力」
そして
「チュートリアルは終了。これから君は死ぬまで私の管理下にある。死ぬまでこの私を楽しませろよ?
いつの間にか消えた、変なやつ改め、神はプライスレスだった。
無料より怖いものはない。
高校入学1日前の出来事だった。
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