第二話 地獄の大掃除
「とりあえず、使用人には飯を作ってもらおう。」
「飯を作れって言ったって、俺のはそんなたいそうなものは作れねえぞ。」
「まあそこらへんは料理スキルがあるから、大抵のものはうまくなる。」
「じゃあまあ作ってやるけど、お前はどんなものが好きなんだ?」
「そうだな、じゃあそっちの世界で子供が好きなものをくれればいいぞ。」
「確かに見た目は子供っぽいもんな。」
「誰が子供だと、私はこう見えても100歳を超えているんだぞ。」
やっぱり賢者だとその年まで生きてんのか。
それに見た目より頭のほうが子供っぽいけど。
「じゃあ、お子様ランチを作ってやるよ。」
「お子様ランチ、お前また私を馬鹿にしてるのか。」
「そういう名前なんだから仕方ないだろ。」
「そうなのか、じゃあそれを頼む。」
ところで、俺お子様ランチの作り方わかんないわ。本物はこいつもわかんないし大丈夫だろ。
確かお子様ランチはケッチャップライスと後なんだっけ。
こいつのことだし、ケッチャップライスだけで十分だろ。
「この家にはトマトとかあるのか?」
「トマトなんだそれは。」
この世界ではとまとはないのかな。
「じゃあ赤いものあるか。」
「それならそこに唐辛子があるじゃろ。」
唐辛子はあるのか。いたずらもかねて唐辛子で作ってやるよ。
だけどこいつは唐辛子がどんな味か知ってんのか。
「お前、唐辛子を食べたことあるか?」
「あるわけないだろう、私は料理を作ったことがないんだぞ。」
「今までどうやって生活してたんだよ。」
「魔物の肉を焼いて食べてた。」
栄養バランスが悪かったからそんな体形になったんだろう。
じゃこいつに唐辛子入りのお子様ランチを作ってやるか。
「よし作り終わったぞ。」
しかしこの唐辛子どんだけ辛いんだ、着るだけでも目がしみてきたぞ。
「おお!できたか。ん、一人分しかないではないか?お前は食べなくていいのか。」
「俺は向こうの世界で、いろいろ食ってたからな。腹はすいていない。」
こんなもの食ったら、腹壊すに決まってんだろ。
「じゃあいただきまーす。」
さ、どんな悲鳴を上げるかな。
「ふむ、意外とおいしいではないか。」
「えっ。」
「このピリッとした味わいがなんとも。」
こいつがきのくせに辛いものに強いのか。なんて奴だ。
「そっそうか美味しければいいんだ。」
「よしよし、これからもおいしい料理を頼むぞ。」
辛さには強くても胃袋は弱いだろう。
「お主には次私の部屋を掃除してもらおうか。」
「えっ。そっその女の子の部屋に男を入れるのっていいんですか。」
「何言ってんじゃ、お前は私の部屋で寝るんだぞ。」
嘘だろ元の世界だと女の子の部屋になんて入ったことないぞ。
まあこいつが女の子だとは認めたくないが。
しかしこいつは男の人を自分の部屋に入れることに何の抵抗もないのか。
こいつの貞操観念はそうなってるんだ
なんやかんやでルカの部屋(?)に来た
その部屋は(?)はもう部屋としての意味をなしていない。
床には良くわからん道具がごろごろ転がっていて足の踏み場もない。
試験管のようなものの中にはどす黒い液体がはいっている。
「ここは物置小屋かなんかか?」
「お前の寝床はここなんだから、片付けるまで寝れないからな。」
こんな量が1日で片付くとは思わないそれにここには危険そうなものがいっぱいある。
「おい、ほんとにこれは人間が触っていいものなのか?。」
「大丈夫、私は解毒魔法も、治癒魔法も使えるから。即死じゃなきゃ大丈夫(だと思う)。」
「それを人が触っていいものとは言わない。」
「どうしてそんなものを捨てないんだ。」
「前にも掃除が下手って言っただろ。」
これは掃除ができないというレベルじゃないと思うんだが。
とりあえず触っていいものと、触っちゃいけないものの指示は出すらしいからそれに従って片付けろとのことだ。
「この道具は触っていいのか?」
「ダメ、触ると毒液が出てくる。多分即死」
さっき即死以外は治療できるって言ったが、治癒魔法の意味がないじゃないか。
いい加減にしろ。
なんでそんなものがあるのかは聞かないことにしよう。
どうせろくな理由じゃない。
とりあえず片づけを進めないと。どうせこいつは片付けが終わるまで俺に何にも食わせてくれないし寝れない。俺はこいつと違って何にも食わなくても生きてはいけないんだよ。
「じゃあこっちの道具は。」
「それもダメ。それも触ると剣が出てきて串刺しになる。」
「じゃあこっちは。」
「だめ。」
「それは。」
「だめ。」
「じゃあそこら辺にあるののは。」
「全部だめ。」
こいつ片付けるという気持ちはないのか。全部危険物じゃないのか。
「おいじゃあ俺は何をすればいいんだ?」
「使用人がいればちょっとは進むと思った。」
「触れなきゃ何もできないだろ。」
「確かに。」
こいつやっぱり馬鹿だ。
「じゃあ俺が指示を出すから、ルカお前が片付けろ。」
「りょ~かい。」
「じゃあいらない奴といる奴の選別をしろ。」
「いやここにあるのは全部いる奴。」
「剣を出したり、毒液を出す道具のどこが必要なんだ。」
「侵入者用のとっらぷ。」
「ここにつけても意味ないだろ。部屋の外につけろ、部屋の外に。」
「わかった。」
そういってこいつはドアの前罠をつけ始めた。
こいつほんとにわかってんのか?
「ドアの前につけるなどうやってここから出るんだ。」
「私20年くらいここから出てない、大丈夫生きられと思う(少なくとも私は)。それにお前は逃げそうだし。」
「逃げたいのは確かだが、外はダンジョンだろ俺は死ぬぞ。」
「賢明な心掛けじゃ。やっと主人を敬うという心ができたか。」
そんなものは一切ないがな
「とりあえずそこにつけるな、部屋から出れない。」
「失敗しなきゃ死なない。」
お前は失敗しなくても、俺は失敗するだろ
「じゃあそれはいらないな。そういえばゴミ箱とかはないのか?」
「ない、」
どうやって掃除しろっていうんだよ。
そういえばここはダンジョンの中だな。
「じゃあ、ダンジョンに捨ててこい。」
「あい分かった。」
こんなやり取りをしつつ1時間ほど片付けをした。
部屋の中にあった危険物(ほとんどが即死するものだった)は全部ダンジョンの中に捨ててきた。このせいでダンジョンが高難度になろうが俺は知ったこっちゃない。
それから1週間後 トラップの多さとほとんどが即死ということから高難度ダンジョンとして冒険者ギルドに認定された。しかし不思議のことにダンジョンの底付近にしか罠はないという。そのことからダンジョンの奥には魔王が住んでいるという噂がある。だが未だそこにたどり着いて者は
ダメ賢者の使用人 @kotaro55
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