Ep.43-2 終わる日々Ⅱ
8月22日 朱鷺山しぐれの手記より一部抜粋
また変な夢を見た。夢の中に時計が出てくると、どちらが現実かわからなくなって混乱する。残念ながら残された時間は少ない。すべての終りの八月二十五日の十八時まで、あと三日と半日だ。実際にはもう少し短くなるだろうから、こうして過ごせる時間はもういくばくもないのかも。
ここ最近、睡眠導入剤を使わないとまともに寝られなくなってきた。薬の副作用のせいか、味覚も少しおかしくなってしまった。朝起きたとき、記憶もおぼろげだ。
朝食の準備をしながらこの文章を書いていて思った。
わたしはあと何回、こうして食事の準備をするだろう。
あと何回トイレに行き、あと何回お風呂に入り、あと何回セックスをし、あと何回、青い空を眺められるのだろう。こんなことを考え始めている辺りそろそろ精神的な限界が近いのかもしれない。
外は酷い有様だ。何度目かの暴動で、ついに電気が止まってしまった。明日からはどうなるのだろう。冷蔵庫ももう使えない。どうなるのか、外の人たちはわからなかったのだろうか。
彼らは最初、私たちを天使と呼んだ。文字通り、天の遣いだ。けれど、この扱いはもう悪魔だろう。
時の狭間で眠って、何もかも放棄して、考えるのさえもやめてしまいたい。
死んだら考えることすら出来なくなるのだろうか。最近死ぬのが怖い怖くて仕方がない。これは偽らざる本音だ(涙の跡)とにかく死ぬのが怖くて……(歪んだ筆跡)
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