interlude:少女の夢、少年の祈り
人間である周、悪魔であるネヴィロスの意識は夢の中で溶け合い、一つの情景を形作っていた。彼女を巡る物語の中で綴られた、奇跡とも呼べる邂逅。それは夢が見せた幻惑だったのかもしれない。それでも、今の彼にとっては本物に違いなかった。
❖
「お久しぶりですね、ネヴィロスさん」
「麻里亜……」
「どうしたんですか、暗い顔して?」
「麻里亜、ごめん。ずっと謝りたかった。僕が君を巻き込まなければ、こんなことには」
「でも、あなたが私を巻き込んだから、この物語は生まれたんですよ。葉月さんに暁さんにしぐれちゃん。素敵な仲間に巡り合えて、よかったじゃないですか」
「でも、本来なら僕は……」
「人間とか悪魔とか関係ないです。私にとってあなたの願いを叶えらえたことは、喜びなんですよ。だから否定しないでください。今を、肯定してください」
「ありがとう、麻里亜。僕は君のためにも……」
「駄目です、全然わかってないですよ。私は私。あなたはあなた。仇討ちなんて考えないでくださいね、ネヴィロスさん。あなたはあなたの、あなただけの戦いをすればいい。だって、あなたの願いはたった今、叶っているんだから――――。有効活用しないと損でしょう?」
「わかった、わかったよ麻里亜。僕は」
「……そろそろ本当にお別れみたいです。短い間だったけど色々とありがとうございました。これからもこの物語を、続けていってくださいね」
「麻里亜!」
それはほんの一瞬の再会。夢の断片が見せた、彼にとっての細やかな
❖
視界が開ける。見知った仲間の顔がそこにあった。だから僕は歩き出す。今はまだ、
◇
三神麻里亜は死んだ。彼女の物語は終わった。
けれど。
彼女の夢は、願いは彼の中で生き続ける。
物語は再度、始まりへ至った。
これからは――彼の物語だ。
かくて悪魔は、少女と出逢った。
/第三章 「Alice in Murdergame」――了
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