第2話「続︰いつもの日常?」
放課後
我先にと、帰宅部の生徒達がごったがえしながら昇降口へと向かう中
私と××は部室にいた
夕暮れ時の、淡いオレンジ色の光が
私と××を照らして────
「 こんなはずじゃなかった 」
────何故、君はそんなにも哀しそうな
...........................................................................
「.....どうしたの?凛ちゃん。何かあったの?」
とぼけて、何が?と言う顔をしてみる
「..本当に凛ちゃんは隠し事が下手なのね」
あっ
その顔はずるいですよ、先輩
──私の前にいるのは高校3年の
私の友人でもあり、美術部の部長でもある
先が少し跳ねた黒髪に、潤んだ柔らかい垂れ目、透き通るような白い肌、髪は右の方に下向きに結んであって、それがとても似合っている
とても優しく、綺麗で、勉強から家事、運動まで本当に何でもできちゃう────私のお姉さんの様な存在だ
まあ、ちょっとドジなのは置いといて
.....普段、先輩の前では褒めるような事はしないのでこんな事は死んでもは言えない
「凛ちゃん?」
あらら、本当にそんな顔で見ないでくださいよ
.....本当に心配させたみたいだ
「でも、そんな事突然聞いてくるなんて、先輩こそどうしたんですか」
あらっ
これは少し失礼だったのか?
「ふふっ...凛ちゃんったら、悩んでるの、バレバレなのよね」
なんですと
「ば、バレバレとは?」
「あのね、凛ちゃん不安になったりすると、眉を困った風にひそめたり、一人で考え込んだりするでしょ」
あー
そういえばかなり前に、我が母にも言われた記憶が.....
「だから、ね。何があったの?」
先輩が聞いてくれて、心配してくれるのは嬉しいのだが
.....これは言えない
何があっても────
「ごめん、言えないんだ。彩織お姉ちゃん」
.....ごめんなさい
だってさ
仮に、
皆がこんな夢見て、
人に言える?
────────殺された、なんて
結局、先輩は少し微笑んで
「.....そっか、じゃあ、人に相談したくなったら言ってね」
こう言っただけだった
私が、こうやって間接的にでも、拒否した事が初めてだったから
余程ショックだったんだろう
重い足取りで部室を出て、
そのまま校門を通り、学校を出る
家に帰ると、理緒がテレビも見ていた
その横に赤茶の髪のキレーなお姉さんも
.....うわあ、キレイだなぁ
そのままリビングを横切って2階に行こうとして────
「お前誰だよ!?」
「あ、今気づいたのー?どもー、隣のお姉さんですー」
ソファから身を乗り出し、ヒラヒラとてをふってくる
思わず振り返しそうになるが───
いや待て待て待て
「おかしいですよね!?なんで隣の人が家に来て平然とテレビ見てるんですか」
バッと横を向いて呑気にテレビを鑑賞している妹の野郎の方を見る
「.....あのね、お姉ちゃん」
なんすか
「この人ね」
はい
「私の家庭教師」
マジっすか
「早めに帰ってきたと思ったら.....本当に何やってんの.....」
すいません
「.....すいません、知らなかったんです」
私の一言に、自称お姉さんの家庭教師は目を細め
噴き出した
「.....ぷっ.....あっはははっー!!」
.....なんでしょうかね、少しムカつきます
「何この変わりよう!?さっきまでは怒ってたのに突然.....ふっふっふっ、あはははっ!!!!」
訂正、すっげームカつくわ
散々笑って、ようやく治まって笑いすぎて出てきた涙をぬぐった後に、家庭教師のお姉さんは私に自己紹介をした
.....何なんだ、この人
お姉さんの名前は
大学生で、頭がすば抜けて良く、それで大学生の教授である我が母に頼まれて短期間だけ家庭教師のアルバイトをしているらしい
と、まあこんな感じで自己紹介されたものの....
しかし、本当に見れば見るほど恐ろしく美人ですな
艶やかな赤茶の髪は長く伸ばしてポニーテールにしてあり、睫毛は柔らかく、美しい切れ長の濡れた様な瞳を囲っていて、肌は毒々しいとも言える髪と対称に、病的なまでに白い、大理石の様な肌だ
.....なんだろう、美人は美人なのだけども
同じく美人の彩織先輩とは違うタイプの美人だ
.....彩織先輩が純粋で、理想の、その場にいるだけで自然と人が集まってくるような...誰もが一度は憧れる典型的な美人だ
香音さんは妖艶な、見れば見るほど人を魅了し、自ら取り込んで離さないような...妖しくいけないとは分かっていても引き寄せられる美人だ
なんだろう.....
最初から感じていた違和感の正体がわかった
私はこの人が怖いんだ
.....何故かは、分からない
「なに?急に黙り込んで、どうしたの?」
.....まさか、ね
「あ、いえ、何でもありません」
「ホントにぃ?なんか、キミって大人騙すのうまそーな子だねー」
ニヤッと読めない笑いを浮かべながら、
この人は
さらりと、頬にかかる赤い、綺麗な髪を、耳元へ掛けながら聞いてきた
.....私は本当にこの人が苦手だ
ヒロインではなく勇者に転生してしまいました。 とりてん@ちゅん @Toritenn
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