第26話
動く。動くには動くが、本来のコンセプトである手足のごとく
また、しばらく動かしているとカーディルが体調不良を
実験開始から二週間ほどのある日、カーディルとディアスは戦車に乗り込んで工場裏手の
カーディルの
ディアスは
一時間ほど走ると、カーディルの顔に
己の
「もう限界だ、実験を中止しよう!」
「大丈夫、まだ、いけるわ……」
まずい、と思う間もなく激しく
ディアスは素早く水筒を取り出し、カーディルの口に当て、
もう、何度もこんなことを繰り返している。
通信機を取り上げ、
「今日の訓練はこれで中止にします、よろしいですね!」
工場でデータを取っているマルコの返事も聞かずに受話器を叩きつけ、カーディルの四肢から伸びたチューブを取り外しにかかった。
ゴーグルを上げると、カーディルの疲労した顔があらわになる。だか、その眼にはまだ
「待って、まだ、やれるわ……」
荒く息をつきながらも気丈に振る舞うカーディル。その
「痛ッ、何すんのよ」
「己の体調を
短く、それでいてハッキリと
「頼むよ、君の身になにかあったら俺はとても悲しい。ここはひとつ、俺のためと思って
カーディルとしても、ここまで言われては引き下がらざるを得ない。軽くため息をつく。それは己の
「ごめん。それじゃあ、部屋までエスコートしてくれる?」
ディアスは操作を通常モードに切り替え、戦車を工場へと向けて走らせた。
まだ
ディアスのすぐ隣の席にシートベルトで固定されたカーディルはまだ吐き気が収まっていないのか、青白い顔をしている。
そんな彼女にまた水筒を差し出すと、どうせ帰るのだからと一気に飲み干した。
「いつになったら成功するのかしらね……」
「
「それはそうだけど……」
何かを言いかけて、口を閉じた。言葉にはしなくても、ディアスにはその気持ちがよく理解できる。思いを
「俺たちはずっと、目に見えない不安に追われ続けてきた。君が焦る気持ちは、そのまま俺のものでもある。それでも、確実に前へ進んで来たんだ。それだけは自信を持ってもいいと思う」
「そうね。最悪からの出発だったけど、あのころよりはずっと、ね」
戦車が工場にたどり着くまで、どこか遠くを見るようなディアスの横顔を、カーディルは
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