第19話
二人が精神のみならず、肉体的にも
ディアスがある日、狩りから戻ると、カーディルは少し緊張した
「ええと……俺が?」
「他に誰がいると思う?」
もっともな話だ。ここは病室ではなく、カーディルの世話をするものはディアスの他にない。
部屋の
緊張しながらも、時間をかけてカーディルの服のボタンを外した。
二つに分かれたシャツの
カーディルの今現在の服装は、上は大きめのシャツ一枚、下はショーツ一枚と、よくよく考えれば
これからどうしたものか、彼女はどういうつもりなのかと悩み、
「ねえ、ディアス。あなたは私になにかと
実際のところどうなのだろうか、という不安はある。事件の前ならいざ知らず、手足がもがれ、
(私に女としての魅力は残っているのかな。ディアスはどう思っているんだろう……)
聞きたかったが、言葉にならなかった。答えを聞くのが怖かった。
ディアスの体が
「俺も、ずっとこうしたかったんだ。君が欲しかった……」
カーディルは心中で
今、ディアスに激しく求められている。それだけであらゆる
快哉を叫ぶとはいうものの、さすがにロマンティックな初体験、
(よっしゃあ!)
……などと本当に叫ぶわけにもいかず、代わりに自らの体を押し付けるように、ディアスの背に回した左腕に力を込めた。
力強くも優しい
「……
痛い、ではなく、辛いかと聞くところにディアスの
「馬鹿ね。今さら何を言っているのよ」
カーディルは笑って、ディアスの鼻を
「私は今、多分……幸せなんだなって、そう思っていたのよ」
ディアスの困惑はますます深まった。
手足を食われ、地獄をさ迷い、地下牢にも似た一室で冴えない男に抱かれて何が幸せなのかと。
無茶でも無理でもなんでもいい。少しずつ前に進むことだ。金を貯めて
カーディルの
「愛しているよ、カーディル」
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