第17話
別れたあとも、マルコという男のことが気になっていた。
そこでカーディルに他の
身動きが取れず、病院のロビーに行くこともできないので、無理はするなと伝えたが、彼女は己の
今さら、ちょっと気になっただけなんだけど、とは言えないディアスであった。
神経接続式の
彼女もまた、独りで悩みに悩んだのだろう。病院の関係者が日に一度か二度訪れる、数少ない他者との交流の
「ねぇディアス、お願いだから無理はしないで。
と、逆に心配される
「生きてこそ、あなたが生きていてこそよ……」
カーディルの深い愛情と哀しみを
彼女の想いは涙が出るほどありがたい。その一方で
(このままでいいはずがない……)
と、いう考えが脳内を大きく
希望が見えたがそれはあまりにも遠く、手が届かない。
例えるならば
無理をするなと
だが、そのときディアスの手の固さが伝わり
(この人は義肢について
こうした何気ないところから男の
後日、カーディルはマルコという自称博士の情報をしっかり集めてみせたと
看護師には
ディアスは顔も知らぬ看護師に心の中で感謝した。
本人も語っていた通り、マルコはここに
「工場?なんでそんな人が白衣を着て病院の手伝いをやっているんだ。そもそも何の工場なんだい?」
「うぅん、何て言えばいいのかな。一言で表現すれば……ハンターのよろず屋?」
「よろず屋、って……ずいぶんと古くさい表現をするものだなぁ」
「そうとしか言いようがないのよ。ちゃんと説明してあげるから、先生のいうことを聞きなさいディアスくん」
明るく笑うカーディルを見ていると、ディアスも胸のうちが暖かくなるような嬉しさを感じた。飛びかかって抱きしめたい
「銃や弾薬の生産、戦車の整備、ハンターの活動に
ディアスは街にある工場をいくつか思い浮かべた。あれだろうか、こっちだろうかと考えるがまとまらない。彼のような小粒のハンターは直接工場と交渉などせず、弾薬は小売店で購入しているので
しかしそれではただの武器商人であって、何でも屋というほどではないのではないか。そんなディアスの疑問の顔を読み取ってか、カーディルが続けた。
「手を食われたり、足を吹っ飛ばされたり、そういうハンターのために義肢の
なるほど、義肢に
「サイバネ医学の
俺は貧乏人だから
カーディルは急に声を
「ここからは
そんなバカな、と言おうとしたが、
握手をしたときや、目の奥を
「ここは笑うところよ?なんでオバケを怖がる子供みたいな顔をしているのよ」
「うむ……本当になんでだろうな」
「一人でおトイレ行ける?お姉さんが付いていってあげようか?」
「行けなかったら
二人、顔を見合わせて笑った。
こんな冗談が言い合える日が来るとは思わなかった。
カーディルはふと、優しげに
「私、あなたの役に立てた?」と、聞いた。
そこでディアスはようやく気がついた。彼女がさきほどから上機嫌であるのは、
(俺の為に働くことができたからではなかろうか……?)
それは
「それはもう、俺の
ひとを
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