第7話
まだ風にさらわれていない
ディアスは
たとえカーディルを助け出すことができたとしても、仲間たちがまた受け入れてくれるとは思えない。誰もが納得しないだろう。
仲間も、ディアス自身も。
よくよく考えてみれば、仲間として共に戦っていた頃からカーディルとは仕事以外の話をした覚えが無い。他にはせいぜい
対して敵は仲間たちを
助ける、などと口にすること自体が
「本当に、馬鹿みたいだな……」
しばらく考えながら歩き、ふと気付いたことがあった。自分は、この状況を心のどこかで楽しんでいる、と。
生きていても良いことのない人生であり、この先良くなる希望は
そして今、もっともらしい理由ができた。魔物にさらわれた美しいお姫様を単身、助けに行く。これこそ男の子のロマンだ。
お姫様の笑顔が自分に向けられはしないだろうということが難点ではあるが、どうせ
彼はすべてに納得した。己が死の
いつも目の端で死の
ライフルを肩から下ろして目線の高さまで持ち上がると、銃床にベッタリと乾いた血がこびりついていた。
「ちょっと悪いことしちまったかな……」
と、苦笑したものの、
開き直りにも似た暗い笑みが浮かび上がり、彼の歩みはいっそう力強さを増した。
戦いのなかで
だが死の運命を受け入れてなお、彼の見通しは甘かった。社会という他人との関り合いのなかで、何の
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