第5話
ハンターオフィスで賞金を受け取り、ディアスは整備工場へと戻っていた。
工場長の
「今回の支払いと、
ディアスの声に少しだけ硬さがあった。 目の前の男に問題があるわけではない。先程のハンターオフィスで残った
白衣に身を包み、分厚い
この街とその周辺に学会は無い。論文を提出したこともない。だが研究に
少々大人げない話だが、彼は工場長と呼ばれると、それが己に対して投げかけられているのだと理解していても返事をしない。
マルコは金の入ったプラスチックケースを摘み上げ、デスクに置かれた四角い機械に次々と放り込んだ。クレジットを数えると同時に、金の
数え終え、数値が表示される。マルコの顔から薄笑いが消えて、クレジットの山とディアスの顔をと
まさか
「これ、おつりね」
「……なんですと?」
「なにって、君はローンの支払いで賞金首を狩るたびにこうして毎回、クレジットを支払っていたんじやなかったのかい?」
「確かにそうですが、意外に早かったもので」
「早くもないさ。あれからもう5年だ」
マルコは天井を見上げて過去に思いを
「あのときは驚いたよ。いきなりやって来て、何でもするからこいつに
思い出話に笑うマルコ。ディアスは少し気まずそうにして顔を伏せた。
「博士のところで人体実験の材料を探していると聞いたもので。それなら自分が引き
「ひどいなあ。そんな噂、信じたのかい?」
「怪しげな噂でも、それにすがる以外に道はありませんでした」
言葉を発するたびに、舌の奥から苦いものがにじみ出るような思いであった。
「なんの
その言葉は過去か、現在か、いずれへ向けられたものであろうか。
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