竜闘虎争 4
人間の有する“戦闘力”の定義は、大雑把な内訳として“力”と“技”……そして“知”を兼ねたものになるわ。
力と技に関してはいつもやってるから、今日は知力を磨く。知識と知恵は別物だけど、知恵の土台に知識がないと行き詰まる時があるかもしれない。何事も“識っている”というのは武器になるものよ。
概念位階に到達している魔導師は、強固な防壁に守られた高火力砲台ね。有する戦力を余さず発揮できたら、“真人”を擁さない都市を単騎で制圧可能なのは言うまでもないわ。ああ……“真人”っていうのは概念位階到達者の事よ。魔族に言わせたら“魔人”ね。前時代の戦力評価に倣うなら、一個小隊ほどの人数で核保有国の国家総戦力に匹敵する。
でもそれは単純な火力という意味でしかない。高火力・広範囲に効果を及ばせる魔術、内包するエネルギーの総量という意味で前時代の一国家に匹敵する
人間同士による国家間の戦争は横に置いて……“魔境”への侵攻戦ならその限りではないけど、防衛戦に於ける都市部に於ける戦闘というものは、基本的に小規模で限られた範囲で行われるようにするものよ。だから魔導師は力の大部分を制限するか、一点に集中した運用しか赦されない。そして拠点防衛を目的とした条件下では、魔導師も十全に力を発揮する事ができないわ。指揮官として戦略・戦術的観点から見れば、そんな一兵卒なんかより連携の取れた軍集団の方がよほど有り難い……だって安定して戦果を上げられるもの。
――その“真人”というものは戦略単位で見るものだろう? 超人を通常の規格に落とし込み制限するのはナンセンスだ。その制限を無くす方策はないのかい?
履き違えないで。人間の強みは突出した個人に齎されるものではないわ。空を舞うドラゴンを蜥蜴と嘲り地に這わせ、鳳凰の羽根を剥いで焼き鳥に貶め、魔族と対等に殺り合えるまでになれたのは個々の力が秀でているからではないのよ。有機的に連携を取れる軍集団としての強みこそが人間の真価で、個別の戦闘力が高いだけの集団でしかなかったのなら今頃人類は滅亡しているわ。
――敵方がこちらより強大であったとしても、如何にその実力を制限するか。本来の実力を発揮したとしても、如何にしてこちらが被害を受けないようにするか。こちらの攻撃手段が敵方にとって最大限の被害にするための状況をどう整えるか。それを考え、実行するのが戦術というわけだね。
そうよ。神代以降は銃器をはじめとする文明の利器が、どうしたって生身に劣る玩具に過ぎなくなっている以上、情報集積文字を組み合わせた魔術が最優最強の武器になる。でもね、魔術というものは基本的に万能の代物だから、この力を効果的に運用できるならそれらの玩具も武器にできるわ。問題はそのための術式がピーキー過ぎて、今のところ私ぐらいしか扱いきれていない事だけど……いつか銃火器が強力な兵装足り得るレベルに返り咲ければ、確実に今の戦争は一変する。私はそう確信しているの。
だから私は武装に銃を選択してる。私が蓄積したノウハウを簡易な術式に落とし込み、誰でも私の銃と同じ打撃力を発揮できるようになれば、脆弱な戦力に甘んじてる“真人”以下の普通の人達でも一線級の戦力になれるから。
今私は大佐……原隊の上官を介して全軍を横断する戦術検討プロジェクトを立ち上げているわ。“練度を上げる”という軍事教練の意味が、“個々人が単純な戦闘能力を上げる訓練”を指す現状を打破する。私が貴方にこの話をしたのはね、いつか貴方が銃を手にする時がくるかもしれないからよ。要は――
――今現在最適とされる戦術も、いつかは別の戦術に取って代わられる、という事だろう? 常に最新の戦術を更新する事を怠るなとマリアは言いたいわけだ。
……ええ、そうね。貴方のそういう察しのいい所、私は好きだけど。今のは最後まで言わせてほしかったわ……。
――アルトリウスとマーリエルの“授業風景”より。
† † † † † † † †
「良ぃい眺めだ……心が洗われるようだ……」
死屍累々だった。毛髪一本、細胞の一片に至るまで氷漬けにされた
まさに浄化の火。八百の門と三百の塔を備えた第三幕壁内の都市中央部は、門の悉くをこの身の力で封鎖され、塔の全てが例外なく
異質特性“
憎むべき敵対者達の領土を破壊し尽くすこの喜びは、もはや種としての本能に根ざしたものである。
――細雪のような髪を持つ長身の少女は、体のラインをくっきりと浮かび上がらせる白いバトル・スーツを身に纏っていた。
彼女の名はクーラー・クーラー。男爵家の家名をそのまま己の名とする才媛は、壊滅していく魔人共の
グラスゴーフは自分達人類と、魔人の戦線へ軍需物資を供給する重要拠点だ。このグラスゴーフを壊滅させる事も任務の内に含まれているが、それは恙無く完了しつつある。グラスゴーフの首魁アルドヘルムの抹殺が優先順位で言えば上位に来るが、アルドヘルムがいると思われていた塔はクラウ・クラウが破壊した。無防備なところへの奇襲である、まず死んでいると思われるが、もしも生きているなら見つけ出して殺さねばならない。
だがそれよりも更に上位に位置する最優先事項。その達成にこそ注力すべきである。クーラー・クーラーは遠目にクラウ・クラウと戦艦の空中戦を一瞥し、次いで眼下を見下ろした。
「……いかんな。昂ぶっている場合ではない」
独りごち、かぶりを振る。
極限まで消耗しているであろう
はからずも脅威と見做していた“野蛮人”の所在は割れ、イスイヴトプスとの交戦の末に逃走したようだ。逃げた足でそのままクラウ・クラウを襲撃し、代わって戦艦とカラクリ仕掛けの負け犬共がイスイヴトプスに当たるようだが、既にイスイヴトプスは役目を果たしている。仮に討たれる事があったとしても問題はない。放置していいだろう。
あの御方の救出はクラウ・クラウが成功させている。
後は……“野蛮人”の相手をクラウ・クラウがしている今、“冒涜者”と“臆病者”の所在を割り出して、どちらかを早期に排除しもう一方を最低限足止めしなければならない。
しかしここまでくれば後は簡単だ。いや、単純と言い換えた方がいい。もはやクラウ・クラウやクーラー・クーラーの成すべき事は一つだけなのだから。それさえ成し遂げたなら、完璧とは言えずともおおよその目的は達成したと胸を張れる。――国に、帰れる。
気を張り直し、クーラー・クーラーは白い魔力波長を発した。限界まで魔力の膜を広げ感知領域を形成し、自らの異質特性で開いた異次元の門付近でジッと周囲を警戒する。
敵が狙うとすれば、まず間違いなく自分だ。イスイヴトプスは
急ピッチで有象無象のニンゲンを生み出しているため、知能や身体能力、有する種族特性も著しく劣化しているが、イスイヴトプスが健在であるなら数だけは無尽蔵である。クーラー・クーラーが自らの意志で閉じるか、あるいは死なない限り門が閉ざされる事はない。それを知るにしろ知らぬにしろ、クーラー・クーラーを排除したいと思うはずだ。
いい加減、こちらの存在を魔人共も把握している頃合い。雑魚共が多数の人造ニンゲンの掃討に当たっている以上、“冒涜者”と“臆病者”はイスイヴトプスかクラウ・クラウ、もしくはクーラー・クーラーを討ちに向かってくるはずだった。
「来るなら来い」
不敵な表情で呟き、白銀の少女は白い息を吐き出した。増援無し、敵地奥深くでの戦闘という、絶望的な状況下でもクーラー・クーラーに悲観の色はなかった。ここまで完璧に作戦は進んでいる、魔人との戦闘も一対一か二対一。少数での戦いであり、短時間であれば仮に魔人十体に囲まれても生き残る自信がある。
しかし、待てど暮らせど魔人が接近してくる気配がない。いっそ不気味なほどで、クーラー・クーラーは眉をひそめた。まさか来ないのか? それならそれでいい、原理は掴めずとも無限に等しい兵数を生み出す原因が、自分にあるのだと察知できていない事になるのだ。こんな簡単な事も掴めていないなら、こちらが想定していたよりも能無しだったというだけの事で。やはり神に背を向けた邪神の狗は劣等種族だったという証になる。
鼻を鳴らした。馬鹿めと。どこから兵が湧いてくるのか、その原因がどこにあるのか、その程度も掌握できないとは。
だが、失望と侮蔑は掻き消える。遠い――と言ってもたかだか1km先。ものの数秒で到達できる程度の短距離だが、静止した状態では遠いと言えなくもない――距離から一発の銃声が轟いたのだ。
マズルフラッシュの光に遅れ、通常規格の魔導銃に二倍する銃撃音が響いた。それが一度瞬き、二度、三度と連なる。そして機関銃のように連射され始めた。
弾丸の雨霰がクーラー・クーラーの眼下の兵を次々と射殺していく。堅固な筋骨を有するオーガの防御の上から。スライムの種族特性としての士道無効化能力を、許容量を超えた物理的打撃力で強引に突破して四散させながら。
そんな真似ができるのは魔導師のみ。それが単騎で動いている以上、あれは
――思っていたより遅かったな、“臆病者”め。正々堂々正面から来るとは異名に
「んっ……クララ、敵を見縊るなよ――ですよね。分かっています、お兄様」
近場の兵が銃声を辿って動き始めたのを尻目に、城壁の上の氷人は嘲笑を浮かべる。正面から向かってくるなど愚か極まると。勝ち目なしと潔く認め、玉砕覚悟で突撃してきたのだろうか。いやそうと決めつけるのは早計だ。まだ“冒涜者”がいる。正面から仕掛けてきたのなら、両者が結託し“臆病者”が陽動に出ている可能性がある。
そうだ。“臆病者”がなぜそんなふうに忌まれているかを思い出せ。クーラー・クーラーよりも若い小娘如き、恐るるに足らぬと侮るのは危険だ。近年最も
その所業、その力の真髄を伝え聞く限りでは、真価は多数を率いての集団戦闘であるからこそ――“冒涜者”が合流してくる前に、奴が単騎でいる内に、速攻で始末をつけた方がいい。
高慢で冷酷な語調を言葉尻で崩し、国から出る前に掛けられた敬愛する兄の言葉を思い出す。脳裏に蘇った兄の声で束の間、柔和な笑みを自然と浮かべるも、すぐに顔を引き締めた。自制し冷静に判断を下した氷人は、戦意も露わに白き魔力を迸らせる。
クーラー・クーラーは選民である。その中でも選ばれた血統を有する貴種であり、男爵の爵位を預かる少女だ。貴族としての思想、士官学校で育んだ価値観、生来の高慢さが合わさり他者を見下すのは呼吸をするのと同義である。だが、愚かではなかった。冷静に物事を測る知性がある。
秀でた知性を育むのは、選ばれし者にとって義務だ。進化した人類としてその義務に忠実である少女は、間近に迫る実戦の気配に、スゥと息を吸い込む。穢れた大気だ、肺に入れるのも悍ましい。しかし今だけは、髑髏鴉の秘術により故郷と同じ空気に感じられる。深呼吸をして意識を凪がせ、銃撃音と共に迫り来る人型に目を凝らし――
「………?」
首を、傾げた。
連続する銃声は確かに近づいてきている。近づくニンゲンの悉くが鏖殺されていた。だが、妙だ。何か違和感がある。作為が感じられた。
人型は、魔人共にイエローカラーと呼ばれているらしい魔力形質の波長を纏っている。魔力形質、魔力波長、それらの特徴は魔人の系譜に特有のもの。目に見えて漲る魔力の濃度を見誤る道理はないはずだ。
ならこの違和感はなんだ? 人型の輪郭は華奢な小娘のもの。こちらの目を誤魔化すかのように暗闇に淀んだ地点を選び、地面を這うように低空飛行しながら、このクーラー・クーラー目掛けて徐々に近づいてきている。それに目をよくよく凝らして、氷人たる貴人の少女は違和感の正体を探り、そして気づく。
「あれは………
ハッとして、叫ぶのと同時だった。
この身の後背より迫り、感知領域を突き破る高速飛翔体を察知する。轟音六連。咄嗟に振り返ったクーラー・クーラーの眉間、人中、喉、心臓、水月、丹田に高密度の魔力が内包された弾丸が直撃し、そのまま貫通した。
頭蓋を穿ち、脳を掻き回し、後頭部から弾丸が突き抜ける刹那。堅牢な頭蓋骨へ風穴が空く寸前に、辛うじて魔術の発動が間に合う。
砕け散ったのはクーラー・クーラーを象る氷像だ。氷の体が人の形を失い、地面に崩れ落ちて魂だけとなるや、歩幅ほど離れた地点に移動しゼロから肉体を生成する。追撃が来る須臾の間に実像を取り戻したクーラー・クーラーが吼える。
「“
呪文。ルーンを基盤とした魔術体系に於いて、詠唱の類いは不要である。しかし術式を早期に作用させる為に、発する言霊を始動キーとして設定する者は多い。クーラー・クーラーもまたその一人だ。
半径100m以内の時空間を、時流ごと凍結する。果たして時が凍りつき、色が枯れ、世界はモノクロに染まった。そしてクーラー・クーラーの眼前には、白い煉瓦のような大型の二丁拳銃を突きつけてくる敵対者が停止している。
“臆病者”マーリエル・オストーラヴァだ。今も時間停止の範囲外にいる銃声の主は、自律してニンゲンを撃ち続けている。だがそれは、
蛮行とも言える急襲に憤慨しながらも、氷人は止まらなかった。マーリエルの存在を認識した瞬間、一時の停滞もなく右腕を氷の刃に置換するや、時間停止の鎖に絡め取られた獲物の首を薙ぎ払う。鋭利な軌跡を刻む斬撃は、停まったままのマーリエルの細首を両断せんとした。
だがやはりというべきか。“勝利”を冠せし戦乙女と讃えられる、黄銅の魔導騎士は一筋縄ではいかない。
時間停止に囚われ、僅か300ミリ秒。あらかじめ条件付けで備えていたのだろう、時間系魔術へのカウンターとして第四位階魔術“
マーリエルは白銃を縦に起こして氷の刃を受け止める。自身の
白い少女は切れ長の双眸に苛立ちの火を宿し、仰け反り様に銃口を躱すや即座に後方宙返りする。細く流麗な線を描く脚がマーリエルの手首を強かに打ちつけ、その手の中にある白銃を弾き飛ばした。
遠くで自律して駆動する、無人の
「卑怯者めッ! 戦の作法も知らないのかッ!?」
堪え切れぬとばかりに激しく面罵する氷人に、“真人”である戦乙女は冷徹な視線を向ける。本当なら応える無駄は省き発砲するところだが、消耗している状態で奇襲が失敗したため、僅かばかり体勢を立て直す意味もあってマーリエルは口舌の戦いに応じた。
この時点で二人の少女の思考の芯には、彼我を分析する冷たい血が流れている。マーリエルは相手を挑発し冷静さを奪うため、またある程度の余裕を持つために舌戦に応じたのに対し、罵倒に応じたという一事でクーラー・クーラーは敵の消耗を悟る。
互いに我こそがニンゲンであると信じ、敵対者を唾棄すべきバケモノと断じる不倶戴天の敵同士だ。余程に酔狂な――それこそアレクシアや、武人肌のクラウ・クラウのような手合いでもない限り、対峙して言葉を交わす事などありはしない。
見敵必殺、存在を認識した瞬間に殺し合うのが
二丁の白い大型拳銃を血振りのように振るや、縦に割れた銃身から空薬莢にも似た術式装填殻が排出される。虚空に現出した円盤型の術式が挿入され、新たな弾丸をこれみよがしにセットしながらマーリエルが口を開いた。
「臆病者呼ばわりの次は、卑怯者? 魔族ってやっぱり頭が緩いのね。ねえ
「ほざけッ、正しき神のお導きより外れた猿風情が、賢しらげに囀るな! 我々が唯一共有する場が戦場だろう、ならばそこでだけでも通すべき筋というものがある。正々堂々戦うのが人としての誇りだ。邪神に魅入られ、人としての最低限の矜持すら見失ったか!」
「自分が信じてもいないような筋を持ち出さないでくれる? 薄っぺらくて寒々しいわ。貴女、笑いのセンスも寒いようね」
氷人である事を揶揄する嘲笑を、薄く、しかしはっきり口元に浮かべるマーリエルに、クーラー・クーラーは頭に血が上りかけたのを自覚して舌打ちした。
忌々しげに舌打ちし、なんとか怒りを飲み下す。
「――それにしても
「は………?」
不意に投げかけられた問いかけに、クーラー・クーラーはつい疑問符を浮かべてしまった。その直後にしまったと苦い顔をする。彼女の反応一つで、マーリエルの中にあった点と点が結びつき、一つの線となったのだと察してしまったのである。
ビンゴ、と胸の内で不言色の甲冑を纏う少女は呟く。この瞬間に再び共通する認識が生まれた。口舌による駆け引きでは、マーリエルの方が役者が一枚上であるのだ、と。心底気に入らないと、クーラー・クーラーが目つきを鋭くするのに対し、あくまで優雅に銃を構える魔導騎士。様子見は終わりだと言わんばかりに魔力を漲らせた。
「………使えないようね。安心したわ、そこまで行けば第三位階の“真人”じゃないと対処できないもの。ええ――今の貴女は私でも充分に対処できる。貴女がそこまで強大になれるかは分からないけど、弱い内に
マーリエルの中にあった懸念は解消された。
現在確認されている魔族は二体。内一体はアレクシアが抑えている。他にもいる可動性はあるが、グラスゴーフが半壊している段階でも姿を表さないところを見るに、本当に二体しかいない可能性の方が高い。
たった二体で、これほどの事を仕出かせる道理はない。こんな真似を可能にするとなれば、どちらかが“真人”でいうところの第三位階クラスの
しかし今の反応がブラフではないとすれば、希望は見える。よくて格下、悪くて同格。彼我の戦力差をそのように分析し、そしてそんな相手がマーリエルにも不可能な事を仕出かしている以上、実力以外の別要素を――それこそ異質特性かそれに準ずる何かを有している蓋然性が浮上した。
ちらりと見た程度だが、アレクシアと交戦している男の魔族は恐らく違う。何せ単騎で都市中枢に浸透してきているのだ、特殊な役割があるならあんな真似はしない。多数の魔物のいる地点、感知不能の別次元に繋がる門付近にいたこの女の魔族を殺せば、無尽蔵に湧き出る魔物を打ち切る事ができると確信する。
いずれにせよ、やる事はやる。執るべき戦術は決定した。
迎撃や足止めを主体とした遅滞戦術ではなく、殺傷を至上とする殲滅戦術へ移行する事がマーリエルの中で固まったのだ。
ベルトに吊るされている短剣型の演算補助宝珠“ベレスフォード”が淡く発光する。魔術式のカートリッジが精製しているのだ。マーリエルはクーラー・クーラーが白い蒸気を発し始めたのを見て、冷淡な言葉を投げかける。
「アイスクリームが食べたいわ。一つ、ご馳走してちょうだい」
「ふん、ならたらふく食わせてやる。コイツは私の奢りだ、残すなよ――!」
大型の白い二丁拳銃――“パッション&ロンリネス”の引き金が引かれ。
レイピアを象る氷細工の剣を後背に四十四本形成し、それを敵対者に殺到させ。
黄銅と白氷の少女達の舞踏が始まった。
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