第4話 異世界へ
「……ここは?」
「どこだと思う?正解は地獄だよ!」
まだ問いに対する答えを俺が言っていないのに回答を言うのはどうかと思う……。
とりあえず、今紹介にあったようにここは地獄という所らしい……ただ、不思議と俺が前まで考えていたような辛く苦しい地獄のような場所ではなく、どちらかというと……。
「天国のような場所って思ったでしょ?」
「え?あ、まぁ……イメージとは違ったかな」
「そりゃそうだよ、君が見たことある地獄って絵本のやつでしょ?あれ相当古いやつだよ」
「そうだったのか……」
聞く話によると、昔の地獄は荒れていたため、釜で亡者を煮たり、血の池に突き落としていたらしく、今はまったくもってそのようなことは無いらしい。
「なら、地獄に来たやつはラッキーなんじゃないか?」
「んー、そうでもないよ?ここに来た亡者は問答無用で生き返らされるからね」
「は?それって駄目なことなのか?」
「……一度説明しておく必要がありそうだね、いいかい?この世には地獄よりよっぽど地獄なところがあるんだ……どこだと思う?」
地獄より地獄らしいところなのだろう。
俺は少し悩みはしたが、正解を導き出すことができた。
「現世か……」
「そそ、君とか特にきつかったんじゃない?ドンマイだったよねww」
「笑いながら言うな!………まぁその通りだとは思うけどな?俺に運がなかっただけ……」
「………はぁ」
俺の言葉にカルマは大きなため息をついた。
「お前な?死んじまったもんは仕方ねぇんだからメソメソしてんじゃねぇよ!うざいったらありゃしない」
「す、すまん」
「ったく……いいか?覚えとけよ?人間誰しも苦労ってのを背負ってんだよ、自分だけがきついなんて思うなよ?」
「……あぁ」
こいつはこいつなりに慰めてくれているのだろうか?
よくわからない奴だが、根はいいやつなのかもしれない……気のせいかもしれないけどな。
「まぁ、いいよ、君には少し頼みたいことがある」
「頼みたいこと……?」
「あぁ………君みたいに人の弱さを知っている者にしか頼めないことだ」
その後の言葉に俺は驚きと興奮を覚えたのを今でも覚えている。
「異世界に行って……弱き者を助けてやってほしい」
ゼロから始める異世界英雄譚 愛妹魅唯 @taku11524731
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