可笑しな言い方かもしれませんが、言葉の一つ一つに血が通っているような気持ちになる、美しい言葉を選びながらも、迫力のある作品になっていると思います。主人公の抱える憂鬱を丁寧に辿り、彼女が眺めている風景と深く結びつけているため、描写がただ綺麗だで終わらせない所が素敵です。生きているゆえに離れられないものを真正面から描いているため、そこに心掴まれました。
同題違話企画の同作ですが、一つの出会いが優しい文体により描かれています。読めば何か心に残るものがある。そんな作品です。