『新選組にもし、女性の隊士がいたら』—――創作では、繰り返し書かれているテーマでですが、丁寧に描かれていて心に迫ってきます。史実に準じているストーリー展開ゆえ、安心して読めます。性別や身分、時代を越えて共感すること必定。
ていうか、作者さまの勉強度、半端ない!
いくつもの試練を乗り越えて前に進む主人公の姿に、ぎゅーっと惹かれます。何歳になっても応援したい。『がんばれ、さくらちゃん!』。
また、事件の間の日常パートでも、登場人物の個性が際立っていて、なごみます。自分は土方さん推しですが、近藤さんも総司も井上さんも永倉さんも左之さんも平助くんも、みんな素敵。芹沢さんだってかっこいいんですもの。捨てキャラ皆無。
最新話では、山南さん脱走シーンまで進んでいますが、果たしてどこが着地点でしょう。見届けたい!
新選組を題材にした物語ですが、主人公は近藤勇でも土方歳三でも、沖田総司でもありません。これは「新選組の中に剣術に優れた女性がいたかもしれない……」という発想(一つの説として存在しています)から生まれた、「近藤さくら」という女性が主役なのです。
確かに「近藤さくら」という女性は、本来は存在しません。しかし彼女は、この物語の中で本当にその時代に生きているかのように感じます。それだけでなく、緊迫する戦闘シーンや、この時代に生きた人たちの息遣いを丁寧に描いているところがこの作品の魅力でもあります。
文字数が30万字をこえておりますが、ダイジェストもあります!
「長いから……」と敬遠せずに、さくらが幕末に生きる志士たちと共にこの世界を駆け抜けて行くところを、読んでみてはいかがでしょうか!