死神のダンジョン

第8話

 変な浮遊感がなくなり視界がだんだん晴れてくる

「洞窟、だよな・・・うわぁ!」

 踝くらいまで血の海が広がっていて、尚且つあっちこっちに 人骨らしきものが散らばっている。


それよりも先に、体に刺さった剣や矢をとらないとな、肩に刺さった長剣をよくこんなの投げられたよななどと思いつつ柄に手をかける。


「いっ・・・・・・!たくない、だと・・・」


 声にならないほど痛い、こともない。手の重みで剣が下に下がり傷口が広がる・・・こともない上に痛みを感じる前に傷が治っていく。



 目を閉じ柄に手をかけ一気に・・・引き抜く


「ふう ふう ふう、はあ、しかし痛くないとはいえ、精神的に参ってしまうな。」



 長剣は後二本腹と左膝、短剣は眉間と脇腹それと左腕と右太ももの計四本、矢は背中にも刺さってるから数えられない



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『スキル【忍耐】を獲得しました。』



分かったことが二つある。吹き出した血も再生できることだ。そのお陰で貧血にもなってない。もう一つは、何かアクションを起こせばスキルをゲットできるということだ。ということは毒を飲んだり浴びたりすれば【毒耐性)をげっとできるということだ。


「はあ、痛かった」


 矢を甘く見てたわ、矢じりに返しがついてて一回貫通させなきゃいけないところが本当にいやらしいし、矢が折れて矢じりだけ体内に残ったときとか最悪、一回治ったところをえぐって取らなきゃいけなかった。それにえぐったそばから治っていくから、精神的にやばかったわ。まあ、そのおかげでスキルをゲットできたから、次からは精神的にはやられることはないぞ。



 「さてと、まずは、明かりだな。えーっと、確か魔力を流すんだったよな。うーん。どうしようやり方がわからない。」


 確か物語とかだと、こう、血が流れるのを意識するんだったよな。


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『スキル【魔力操作】を獲得しました。」

「を。これか!よし。そしたら、この本に魔力を流して。」


 魔力を流すとサイリウムほどの光が出た。だがしかし、こんな光量では全然周りが見えない。さらに、魔力を流すとステータスウィンドウのようなものが出てきた。

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『地獄の大公爵ビネを開放しますか

はい/いいえ』

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 反射的にはいを押してしまった。すると、本を巻いていた鎖が、金属音とともに粉々に砕け散ってしまった。そして本はひとりでに開き、嫌な感じのするもやが立ち込める。そして、靄が晴れるとドラゴンの体に人間と鷲と犬の三つの頭を持ったものが浮いていた。

「我を封印から解放したのは貴様か。」

 とても美しい女性の声で訪ねてくる。ただし、ものすごい圧力をかけてくる。おそらくこれが殺気というものだろう【忍耐】がなかったら失禁していただろう。

「・・・はい。そうですが。」

何とか声を絞り出す。

「ふむ。こんな可愛らしい少女に助けられるとはな。」

 

 そうなんだ、俺の見た目はとても中性的というか女顔なのだ。身長は150㎝代で色白だし髪型はショートカットっぽいし、中学の親友(女)からは「この学校のどの女の子よりかわいい。」と家われる始末だ。だから、高校に入ってからは一人称を僕から俺に変えたんだ。家では似合わないからやめてと家族全員に言われたので家では僕だが。閑話休題。この容貌のせいで高校では全校の女子から目の敵にされ男子からは告白され、気づけばボッチになっていた。


「ぼ、俺は男だよ。」

三つ首の竜をにらみつけるとプルプルしだした。やばい怒らせたか。


「か、・・・かわゆい!」

さっきまでの殺気はどこへやら、いきなり抱き着いてきた。

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再生能力者のきまぐれ 睡魔王 @suimaou

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