36 今年の終わり、よくある結論。

 毎週水曜日に更新しているエッセイは今回が今年最後になります。

 何かまとめになるような文章を書きたいと思い、考えてみると、それは「結婚」でした。


 僕は当然、と言うとヘコむけれど、独身でこの人と結婚したいと思ったことのない人間です。漠然といつか結婚はするんだろうな、と思っているけれど、それもどうしてか?

 と尋ねられると答えられない。

 言ってしまえば、僕にとって結婚は遠い、いつか来る何かでしかありません。

 それでも今年一年を過ごす上で常に頭の片隅に「結婚」という単語がありました。


 原因は弟でした。

 二歳年下の弟に今年の目標を聞いたところ、今の彼女との結婚だと答えたんです。

 ちなみに僕の目標は、去年の十二月にお酒を飲みすぎて体調を崩したので、一年間三六五日の間で七日間だけお酒を飲まない期間を作る、と言うものでした。これを書いている十二月現在、その目標は果たせずにいますし、多分果たせずに今年を終えるでしょう。

 僕のことは置いておいて弟です。


 弟から結婚した、という報告は受けませんでした。課長になった、というメールは来たけれど。

 その為、弟はまだ結婚していないんだと思うんですが、共に成長してきた弟が結婚を考える年齢に達している、という事態に僕は考え込まない訳にはいきませんでした。

 この一年間、僕が考え続けた「結婚」という言葉の結論は以下のようなことでした。


 愛し合っていなくても結婚はできるし、結婚をしなくても愛し合っていると証明できる。


 ただ、結婚という制度が最も相手を愛していると示すのに適しているだけなのではないか。少なくとも感情的な結婚は。

 結婚について考える時、その指標になる作品として少女漫画の「姉の結婚」を僕はあげます。

 読んでいただけると分かるのですが、全八巻の中でこれでもか、と思わせるほどの名言や名文のオンパレード。真正面から現代においける結婚とは何か? を考え続けている作品で、読んでいるこっち側も苦しく、悲しく、考えさせられます。


 僕は先ほど「結婚をしなくても愛し合っていると証明できる」と書きました。それは間違っていない、と思います。

 ただ、愛し合うだけでなく、傷つけあい、一緒に苦しみあえる関係は結婚した夫婦が最も適しているのだと、僕は「姉の結婚」を読んだ時に感じました。

 少なくとも、結婚を決める要素に恋愛が大きな部分を占めてしまった現代においてはとくに。


 繰り返しますが、愛し合っていなくとも結婚はできますし、結婚した後に恋愛をすることもできます。丁度、映画「グッドストライプス」のように。

 キャッチフレーズは「それは『結婚』から始まる新しいロマンス」。

 それは当然あるし、あっていい。

 幸せのゴールが必ずしも結婚でなくて良いし、結婚したらかと言ってゴールであるはずもない。


 ただ、結婚という、その先の人生と生活を共にする制度ゆえに、楽しく幸せな愛以外の要素が多く加算されてしまうのは間違いありません。

 だからこそ傷つけあい、一緒に苦しんでも隣にいられる人といるべきなのだ、と僕は思います。

 が、よくよく考えれば、そんなことは今までの多くの映画やドラマ、恋愛小説で語り倒されていることなんですよね。


 しまったなぁ、と思いつつ、皆同じところに辿り着くように「結婚」という制度が成っているのだとしたら、それはそれで凄いことですね。

 目から鱗な話はできない、当たり前のことを当たり前みたいに語るだけのエッセイですが、今年は今回のもので締めくくりとさせていただければと思います。

 これを読んでいる皆様が良い年を迎えられるよう願っています。

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