⑲ 僕が小説を書き続ける理由。
エッセイを書くきっかけは単純で、その隣で連載していた「眠る少女」という小説の読者を増やす為のプロモーションの一種として始めました。
まったく無名の僕が突然、小説をカクヨムにアップしても読んでくれる人は誰もいないでしょう。だから、どういう人間が小説をアップしているのか、というのが分かるようなエッセイになれば良いなと思っていました。
と言っても、内容は常に日陰のジメジメした地面のようなもので、こんな文章を読みたい人がいるのだろうか?
と疑問にもなります。が、そういう人間が書いている以上、仕方がない部分もあります。こういう人間なんだな、とうんざりしたりしつつもお付き合いいただける方がいらっしゃれば、引き続き読んでいただければと思います。
よろしくお願いいたします。
さて、今回の本題ですが「眠る少女」についてです。
自作についてエッセイで書くのは言い訳がましいですし、読んでいない方が殆どですから伝わるのはほんのごく一部だと思います。
なので、内容には触れず、単純に「眠る少女」を書くに当たった経緯のようなものや、当時の思い出なんかを書いてみたいと思います。
一番に伝えたいことは、「眠る少女」を書いている最中の僕は無職だったことです。
無職になる前は販売の仕事をしていていました。そこそこ楽しく働いていたのですが、先のある職種でもなく、当時の上の人間におっそろしいほどに嫌われていたので(社長とかには可愛がってもらったんですが)、さっさと辞めることにしたんです。
で、自主退職な訳ですが、失業保険の手続きをして、三ヶ月ほど働いて(まさかの同じ職場で)、失業保険の生活をはじめたんです。
働かずに毎日、小説を書ける環境。
最高っ! と今なら思いますが、当時はそれはそれで苦しかったことを覚えています。毎日、人に会わず、お金がないから安いご飯ばかり食べて、日々お金が減っていくことに怯え、焦って小説を書かなきゃ、と空回りをしていました。
社会との接続がないこと、そして、お金がないことで、僕の心に余裕は一切なかったことを覚えています。読みたいと思っていた本も殆ど読めず、ただただ毎日パソコンにかじりついて小説を書きつづけていました。
それが「眠る少女」です。
プロット自体は働いている時に書いていたので、後は書くだけだ、というスタンスだったのですが、まぁ苦戦したのを覚えています。書けなくなると僕は深夜だろうと、早朝だろうと外に出て散歩をしました。
好きな音楽を聴きながら、ずっと小説のことを考えるんですが、そうすると如何に自分が小説を書くことに向いていないか、と気付いて毎度へこんで部屋に戻ってきました。それが僕の無職の日常でした。
それでもパソコンの前に座って、続きを書こうとするんですから、マゾとか言うよりも馬鹿なのだと僕は思います。けれども、向いていないことでも続けてみると、意外と形になるのだと分かったのは一つの財産でもありました。
僕が「眠る少女」を書き続けられて、また今も書いていられる理由に倉木さとしという友人の存在があります。彼も僕と同じように作家志望です。彼の作品を読むのが僕は好きで、作品が出来る度に送ってもらっていました。すると、何かお返しがしたくなるのは自然なことだったのだと思います。
僕は倉木さとしに読んでもらう為に作品を書いてみたくなったんです。
それが、一時期から今にかけての創作意欲になっていることは間違いありません。
僕が胸を張って言えることは少ないですが、その中で最も誇って言える一つに「読者が一人でもいると知っていれば、人は物語を作ることができる」です。
一つの物語が書ければ、幾つかの反省点も見つかって次はどうすればいいのだろう? と考えられる。努力を続けられることこそが、才能だと言う人がいます。僕はそれに同意すると同時に、その努力を続ける為の人と出会うことも、一つ大切な要素なのだと思っています。
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