星が酔う
これは
それに、ちかちか、目いっぱいに広がるのを見つめていると、ほかのものが、なんにもなくなってしまったような気になります。その心地が不思議でたまらずに、わたしは夢中で天を向いていました。
ようやくして、首がくたびれた、と思ったときです。すぐ横で年よりの声がしました。
「今夜は
「そりゃあ、めでたいことさな」
いつの間にか
「ところで
「もちろん涸れちゃおらんさ。くちびるも
ほ、ほ、ほ。ふたりは笑って、
「けっこう、けっこう。もう、そうしたら、あとは
「そうともさ。しかし、いくら
「実はわしもそれがひとつ心配じゃった」
「ほ、ほ、ほ、そんなら
「そりゃいい案だわい」
ふたりが
「せっかくのこと、友人も呼びたいものじゃのう」
「そうすると、
「わしもじゃわい。ええて、ええて、酒の
そして、ひとりがまた懐から真珠のような、ひと粒を取りだしました。これがきっと
ひと呼吸するかしないか、みるみるうちに
わたしはくらくらしながら、この宴のゆくえを見つめるしかありません。やがて話にあったとおりに、どの星も
老人たちも一緒になって盃をあげ、お祝いのうたを
あっけにとられていると、赤ら顔した老人のひとりが、わたしに近づいて
「どんな
その声を聞くだけで、夢と
盃を受けようと、ふるえる手を伸ばしたわたしは、はっとして目が覚めました。
「
隣に腰かけた
「さ、甘酒を持ってきたよ。お祈りをして、いただこうね」
何度もうなずいて夢のなごりをふり落とします。このままでは、またおんぶの道になるでしょう。今夜はなんだか、それがいやなのです。
意地になって、うんともすんとも言わないまま
深い
「“星さえ酔うのに、
湯気の立つ甘酒を手に包んで、ひとくち
「見てごらん。いまちょうど
乳母さんの言葉に、わたしは
(おしまい)
迎夏の宴 きし あきら @hypast
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