迎夏の宴
きし あきら
桃李園へ
夏になれば星が
これは花の季節がいったのちの、はじめての流星群をさしていう言葉です。
大事なお祝いの日だと、だれもが言います。青葉したたる
毎年この夜に
戸窓を開けると、肌寒いくらいの
「ううん、やっぱり間にあわないわねえ」
木べらを持ったまま
「
どきん。
毎年、手をひかれていって、しかも帰りは
「あなたももう七つだもの。
乳母さんは瓶鍋のようすを見て、そこを
「
リンリンムシ。その名前でようやく返事をすると、ふっくらとした手が頭をなでて、また木べらを取りました。
わくわくしながら
いつも、用もなく捕ってはいけないと言われる羽虫を、開けた網かごのなかに
じっと見ていると、羽のひかりに照らされた蜜が
桃李園へと近づくにつれて、立ち売りの
砂糖の山に光っている干し
にぎやかな道を、
灯りがわりの網かごは
考えてみて、思いなおすと、すこし道を
ひとりでするということは、なんでもこんなふうでしょうか。やがて通りの明るさを
人かげは多く、みんな
あいかわらず、くるくるやっていた燐々虫が、すぐに外へと出ていきます。帰りには乳母さんと一緒ですから、早く逃がしてやったほうがいいのです。
ちょうどよさそうな石に
じれて目だけで辺りを探してみますが、まだ乳母さんのすがたは見えません。こうなったら自分だけでも見逃しはしないぞと、わたしは天に向きなおって、そのときを待つことに決めました。
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