シュシュの憂鬱、その2

「ああ、ウェルテル……貴方は想いに敗れ、自ら引き金を……」

 土砂降りの、またある別の日にて。

 シュシュは机上で「若きウェルテルの悩み」を読了し、ほほに涙を伝わせていた。

「貴方も、想いを遂げられなかったのね……」

 嗚咽をこらえ、自らをウェルテルに当てはめるシュシュ。

「けれど、私は……貴方とは違う結末を迎えてみせるわ。見ていて……いつか必ず、お姉様と……」

 シュシュは泣き疲れ、やがて机にせって目を閉じた。

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薔薇香る憂鬱 有原ハリアー @BlackKnight

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