宮内浩 春 06

 意識が戻ると病院のベッドだった。

 

 両親は僕が思うよりも本気で心配してくれた。部屋から夢の気配を書き留めたノートが見つかってからは、それはより深刻なものとなった。


 母は泣きながら「ちゃんと生きないと、本当の意味でお姉ちゃんの所へ行けなくなっちゃうよ」と何度も言った。

 僕は姉を探していたけれど、姉の所へ行こうとは思っていなかった。


 傍から見れば、その違いが分からないのだと、僕はその時になってようやく思い当たった。

 僕は入院している間、姉の所へ行こうとしている訳ではないことを周囲に知らせる方法について考えた。


 入院して三日目の夕方、僕を轢いた運転手が見舞いに来てくれた。

 初日に顔を合わせていたので、二回目の対面だった。


「元気かー?」

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