ともだちを成仏させたい

「一緒に、星を見に行きたいんだ」



・概要

「『ゲストイン』、あなたを探していた」

 それは一体なんの記号だったか。何か人違いをしているのではないか。どんな質問を投げ掛けても、彼女は不思議そうな顔をするだけだ。外見も、性格も、この世界の存在ではない彼女には個々の判別がつかないものだった。

 探し人の記号は、魔法少女『ゲストイン』。

 そう。ただ、『ゲストイン』という記号だけを頼りに彼女はここまで来た。その手を握れば、一緒にモノクロ世界に落ちていくだろう。少女は助けを求めに来たのだ。


・場所

 今、まさに、立つ、その場所。

 振り返ると水色の少女がこちらを見ていた。


・依頼人

 魔法少女『メルヒェン』。


・脅威度

 星1。


・勝利条件

  モノクロ世界から無事に生還すること。

 『メルヒェン』は童話の世界に獲物を引きずり込む魔女でもある。魔手から逃れなければ。報酬はどうやってか口座に振り込まれている。


・敗北条件

 手を握らないこと。モノクロ世界に閉じ込められること。

 少女の周囲には時空の歪みが観測される。その影響は徐々に広がっていき、ここで手を打たなければアッシュワールドは飲み込まれるだろう。


・カンパニーの公式見解

偉い人「直ちに影響はない」→よって星1相当と判断された。




 モノクロ世界に引きずり込まれる。


「よお、お前さんが『ゲストイン』かい? 俺は『トロイメライ』、よろしくな!」


 出迎えるのは魔法少女『トロイメライ』。

 連れてきた少女は魔法少女『メルヒェン』。

 彼女たちには魔法少女『ゲストイン』という記号でしか認識されていないらしい。ちなみに、野郎でも容赦なく魔法少女である。魔法少女たちの愛憎と戦争と幻想と絶望のマジカルストーリーが始まる。







 ※好きにマジカルストーリーして下さい。



「何もない私にも、あげられるものがあった」


「綺麗だって言ってくれたのが堪らなく嬉しくて」


「だから私は、星を見るのが本当に好きなんだ」


「零れ落ちた滴も、私で貴女だよ」


「そんな風にさまようだけの地獄から解放する」


「もう終わったの。だから、もう戦う必要なんてない」


「私が貴女をきちんと成仏させる。二人で天国に行こう」


「私の、大切なともだちだから――――……」






 世界崩壊圏。

 荒れ狂う暴風と飛び交う建造物が全てを根こそぎ破壊していく。世界が崩壊する。その中心に浮かぶのは巨大な砂時計。その巨体の全身にヒビが入っていて、黒い泥がその隙間を無理矢理埋めている。世界を崩壊させる魔女を破壊するため、魔法少女たちは最後の戦いに挑む。



・ターゲット

『ヴァルプルギス・ナハト』

 魔女の集合体。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885760655/episodes/1177354054890355029」の魔女が勢揃いで襲いかかってくる。

 皆で共闘してもいいし、別個に戦ってもいい。魔法少女たちの生死は気にしなくてもいいだろう。所詮、向こうからちょっかいかけてきただけの別世界の住民だ。

 しかし、『メルヒェン』だけはしぶとく生き残るはずだ。


・味方勢力

 魔法少女たち。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885760655/episodes/1177354054890355028」の魔法少女たちが一緒に戦ってくれる。

 皆で共闘してもいいし、手分けして魔女を倒してもいい。


・撃破条件

 終演の魔女『リコール・ノン・アンコール』の撃破。

 舞台装置が崩れ去れば、役者の魔女たちもともに崩れ落ちるだろう。


・顛末

 決定的ななにかを間違えた。

 呆然と立ち尽くす『メルヒェン』に黒い泥がなだれ込む。もし、他に生き残った魔法少女がいても、それらは皆『メルヒェン』にトドメを刺されていた。舞台装置が破壊され、魔女も魔法少女も黒い泥と朽ちていく。

 『ゲストイン』を水色の光が包む。

 『メルヒェン』の目的は結局分からずじまいだった。しかし、この水色の小さな結界は間違いなく『メルヒェン』の魔法。ごめんね、という言葉が聞こえた気がした。これは少女が何かを為そうとして失敗した物語。

 元の世界に戻ってきた。

 どこか記憶が混濁している。

 何があったような、そんな夢心地。

 その足元で黒い泥が震えていたことは気付かなかった。




「請負人」

 なし。



「裏話」

 カオスな総力戦。ハンターはもれなく魔法少女に。敵が滅茶苦茶なので、ある意味一番書き手泣かせの依頼かもしれない。アイネちゃん一家やララちゃんにフリフリの魔法少女服を着て欲しかったところ。

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