【ゲスト】魔法少女

 魔法の力で異形の魔女と戦う力を身に付けた少女たち。身体能力の大幅な向上、固有性質に結び付いた魔法、固有武器の三つが命綱。魔力源たる心臓さえ無事ならば、その肉体はいくらでも再生する。




「魔法少女『パスタパスタペペロンチーノ』」


・本名

 二階堂一間にかいどうひとま


・外見

 がりがりに痩せ細った針金のような少女。女子中学生にしては長身。ぼさぼさのくせっ毛を短くしている。彩度の異なる橙を貼り合わせた襤褸布のようなドレスで着飾る。その表情は感情に合わせて豊かに動き回るが、その目はあまり笑っていない。


・性格

 人懐っこい。誰とでもすぐに打ち解けて人の輪に入っていける。僕っ子。沈黙が苦手でやたらよく喋る。楽天主義で出たとこ勝負を楽しむ。球団も楽天のファン。

 破滅願望。

 貧乏な家庭で育った彼女は、歪んだ家庭環境の中で育つ。いつも素パスタばかり食べていたのでたまにはペペロンチーノを食べたいと思っている。惨めな自分が惨い目に遭うのは当然と考えていて、自分が破滅することに堪らない快感を抱く。その欲望は周囲を巻き込んで泥沼の破滅を招く。


・魔法

 その性質は泡沫。

 泡にまつわる魔法を操る。バブルの質量で押し潰したり、光の屈折率をずらして虚像を作ったり、弾けた衝撃で攻撃したり、等々。魔法としての戦闘力は最底辺だが、破滅的なまでの特攻戦闘姿勢の彼女はゴリ押しで魔女をねじ伏せる。間違いなく早死にするやつ。

 どんな小さな幸せも、全ては儚く弾け飛ぶ。


・固有武器

 棍棒。なにもかもを叩き潰す。


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「ジャーン! パスタパスタペペロンチーノ!」

「やあやあ、僕が手伝ってあげるよ!」

「さあて、魔女を破滅させちゃおう!」

「ああぁ……破・滅・的ぃ――――ッ!!」




「魔法少女『メルヒェン』」


・本名

 大道寺真由美。


・外見

 まるで絵本のお姫様のような可憐な少女。発育不良の女子中学生で、かなり小柄な幼児体型。長い黒髪。水色のフリル付きワンピースが魔法服。二の腕まである白い手袋と白タイツで肌を隠している。氷のように冷えきった目をしているが、よく見ていると表情豊かだと分かる。


・性格

 良くも悪くも良家のお嬢様。やや世間ずれした感覚と引っ込み思案のせいで友達が出来ない。クラスの中心のあの人と仲良くなりたいが、うまくいかずにもやもや。ストレスをうまく消化できずに、人に対しては少し攻撃的。星を見るのが大好き。

 メンヘラ。

 由緒正しい血統でありながら未熟児、出産の際に母を亡くしていることから常に後ろめたさを抱いている。ままならない現実から逃避して、全てを完全に救いだしてくれる白馬の王子様を待ち望んでいる。ただの幻想に夢を抱いて、より一層自分の殻に引きこもる。


・魔法

 その性質は創造。

 拳大の白い球体を無数に産み出す。白球は、万能の素材。それらが組み合わさってありとあらゆる物質を創製する。少女の頭の中で組み立てられたものがそのまま創造されるので、想像の外にあるもの、理解の範疇外にあるものは創造出来ない。物質だけではなく、能力などの概念的なものも生み出せる。

 この世界はままならず、だから自分で作り出すのだ。


・固有武器

 フィールドスコープ。やたらファンシーな記号で埋め尽くされている。対象の物理的概念的組成構造を解析する。構造が理解出来れば、もちろん創造の魔法で再現できる。


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「私の魔法は世界を描く」

「嫌、よ」

「――出来る。私は……何でも、出来る」

「全てが無駄でも、やるしかない。私の世界は、いつだって、そう」




「魔法少女『トロイメライ』」


・本名

 十二月三十一日ひづめあやか。


・外見

 赤い鉢巻きに灰色の羽織り。ギラギラとした表情が浮かぶ俺っ娘。髪型はベリーショート。やや小柄だが出ているところはちゃんと出ている。手首にリングが二つついた銀色のグローブをはめている。


・性格

 熱い魂を秘めた漢女おとめ。不屈の心と獣の執念を併せ持つ。

 愛されることに貪欲で、そのために人助けに邁進する。小さな頃夢見たヒーローになれば、誰もが振り向いてくれる。そして、ヒロインたるお姫様の真由美に心を奪われる。俺っ娘。

 英雄願望。

 その感情は、友情でもあり、愛情でもある。セクハラじみたアプローチをしながらも、『メルヒェン』に見初められるように、彼女のヒーローを張り続ける。


・魔法

 その性質は反復。

 攻撃や自然回復を反復させることで、効果を際限なく引き上げる。魔力の届く限りその威力は膨れ上がる。本人の格闘戦も一流で、トリッキーなボクシングスタイルで戦う。

 一発のパンチを何発分にも増幅させる「ショット」。

 一歩分の前進を瞬時に繰り返して水色の道を生み出す「ロード」。

 一撃分の衝撃を増幅して相手の内部にぶち込む「クラッシュ」。

 自然回復力を増進させる「リペア」。等々。

 何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、きっと偽物ではない自分を掴むため。


・固有武器

 銀のグローブ。

 両手首に2つずつリングが装着されている。それぞれが逆回転することで凄まじい推進力を生み出す。どこまでも肉弾戦に特化された魔法少女。


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「俺が、だ」

「ぶっこんでくぜ! リロード!」

「おう、俺に任せとけ!」

「リロードリロードロード! リロード! インパクトショットォ!!」




「魔法少女『スパート』」


・本名

 御子子寧子みここねいこ。 


・外見

 青いレインコートのような魔法服。目深に被ったフードで顔を隠しているが、別に普通の顔で短髪。魔法のフードなので視界は良好らしい。


・性格

 溌剌で正義感の強い女子中学生。闇を知らない人生を送ってきたので、一度折れると脆い。

 恋愛脳。

 恋に恋するお年頃。誰が誰を好きなのかに夢中で、そして目敏い。男女間の恋愛だけではなく、女の子同士でも。しかし、自分がその対象になるとてんで疎くなる。この世の全ては愛である。真理に最も近く、それ故に破滅も近い。


・魔法

 その性質は治癒。

 生命の水が傷を包んで治療する。肉体の欠損さえなければ、ほぼどんな傷でも回復する。回復の速度は傷の深さに比例し、対象は自分以外にも可能。

 無垢な優しさは、容赦なく傷口を包み隠す。


・固有武器

 サーベル。

 正義の象徴武器。剣術は素人レベルだが、折れても砕けても無限に生えてくる。


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「正義のスパート、受け入れなさい!」

「あたしのマジカルストーリーはここからだ!」

「あぁれー、顔が赤いぞぉー?」

「でも、好きなんだよね。あたしにはわかるよ」




「魔法少女『デッドロック』」


・本名

 四月一日わたぬきみいな。 


・外見

 赤くくすんだ茶髪をサイドテールなのかポニーテールなのが判別しにくい位置でまとめている。赤い修道服みたいな魔法服だが、力任せに破ったスカートのスリットはかなり際どい。

 年齢不詳の浮浪児だが、十代半ばであるのは確からしい。


・性格

 人を食ったかのような言動と態度。人に嫌われるのを楽しんでいるように見える。善行を積んだのと同じ分だか悪行を犯す。若干舌足らず。

 ツンデレ。

 本当は困っている人を放っておけない良い子ちゃん。裏切りを誰よりも恐れて、人から離れようとする。実は寂しがり屋。人間が壊れた連中ばかりの魔法少女の中で一番の常識人。そして名ツッコミ役。


・魔法

 その性質は幻影。

 赤い煙が虚像を象る。魔力で凝縮された煙は、本物と遜色ない虚像を作り出す。『デッドロック』はこの魔法で自分の分身を作り出す。最大数は三体だが、彼女ほどの実力が三人増えるのは尋常ではない。

 どっちつかずであることを選んだ自分の投影。


・固有武器

 多節棍。

 九の節を持つ魔法の棍。圧倒的な身体能力を誇る『デッドロック』は、扱いの難しい多節棍を自在に振り回す。その実力は達人の域。


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「どっちつかずのデッドロック、それがアタシさ」

「チャラチャラ踊ってんなーてえのッ!」

「いいぜ、アンタとやるよ」

「いや、そりゃーおかしーだろ」




「魔法少女『ヒロイック』」


・本名

 郁ヒロ。


・外見

 黄色を基調とした豪奢な魔法服を華麗に着こなす。癖っ毛をサイドテールにしている。魔法少女の大ベテランで、英雄と称されることもある。ベテラン故に他の子よりも大人。


・性格

 おっとりとしたダウナー系。表情は乏しいが、人といるとよく喋る。お茶会に人を招くのが好きで、お菓子作りが趣味。女子力すごい。口癖は「り」、口癖というか鳴き声というか。

 メサイアコンプレックス。

 やや疎外感のある家庭で育った彼女は、賢さゆえに自らが愛される方法を模索した。結果、人助けや正義の実行が自身の存在意義となる。それ以外の生き方を頑なに否定し、誰かのために散っていく生き方を貫く。そんな緩やかな破滅は、しかし英雄は圧倒的な実力でねじ伏せる。


・魔法

 その性質は束縛。

 望むものを繋ぎ止めること。自身の魔法を極めた『ヒロイック』は、縛るという概念に触れる全てを具現化する。束縛という結果を得た生成物は、決して引きちぎれない。

 戦闘でよく用いるのは、リボンと鎖。前者は相手を傷つけずに捕らえたり、重ねて目くらましや防御壁にしたりする。後者は相手を強引に縛り上げたり、鞭のように物理攻撃に転化したりする。とにかく、応用力が卓越している。基本後衛型だが、単純な肉弾戦も『トロイメライ』や『デッドロック』に匹敵する。戦闘中に気持ちが高ぶると「り」の数が増える。

 縛って、繋ぎ止めて、愛情を引きずり出す。


・固有武器

 分銅。

 または単純に重り。無限に湧いてくる小さな重し。主に鎖に括って投擲武器にしている。重量を調節した束縛魔法は、自在の緩急で敵を捕らえる。武器自体の使い勝手は最悪だが、『ヒロイック』はその使い勝手の悪さすら戦略に組み込むのだ。


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「りりり。私は、ヒロイックに世界を救わなければならないの」

「大人しく捕まってくれるのなら、痛いようにはしない」

「さあ、みんなでお茶会でもしよ?」

「り。りり、りりり。りりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりり――――!!!!」




「魔法少女『ジョーカー』」


・本名

 暁えんま。 


・外見

 黒色コートのような魔法服。膝まで伸びる黒髪は所々跳ねている。目を引くのは、大きなギョロ目。人を射殺す

ような殺意満々な目つきだが、実はただの生まれつき。


・性格

 引っ込み思案でコミュ障。何事にも後ろ向きな根暗ちゃん。しかし、これというものを見つけたときの執念は凄まじく、全てをねじ伏せる強靭な意志を持つ。ある意味最も魔法少女向けの性格をしている。

 偏執病。

 不信と猜疑心が少女を苛む。世界全てが敵に回っているような、そんな孤独な戦い。信じられるのは、たった一つの夢想と自分の魔法だけ。それだけあればきっと世界とだって戦える。

 

・魔法

 その性質は時空。

 自身の纏う時間と空間を操る。存命する魔法少女の魔法としては最高位の力。全ての攻撃を弾き、じわりじわりと押し潰す。特殊能力全振りで、本人はあまり強くない。

 たった一つの本物を手にするためなら、時も空間も押し退ける。


・固有武器

 小銃。

 弾倉内20発、弾倉の交換はマジカルリロードでとってもスムーズ。『ジョーカー』の魔法と組み合わさると、空間を跳躍したり時間をすっ飛ばして狙い撃たれたりとかなり凶悪。

 また、近距離の間合いでも鈍器として活用出来る。壊れても魔法で再生製され、最大召還数は二丁。一丁四キロ近い重量だが、魔法少女の腕力ならば問題ない。

 ちなみに、ここまで盛られても『ヒロイック』には勝てない。 


・居場所

 輪廻の魔女結界。


・語録

「ジョーカーは切り札。ジョーカーは仕切り直す。そしてジョーカーは嫌われ者」

「私は……あの、その…………」

「私のことは気にしないで」

「ここは、決して、譲らない」





「裏話」


 過去に書いた小説のリメイクキャラたち。高月さんは堂々たるラスボス。その内リメイク版を書いてみたい気がするけど、今の状況でちゃんと書けるのかどうか不安。書いたところで、終わりのあやかとか終盤のネタバレ満載なので今さらな気がする。そう考えたら、一切使われなかったのも運命のような。

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