大半の閲覧者に通じないだろうが、東映アニメ「ホルスの大冒険」を思い出した。アイヌの民族伝承の一編にありそうな世界観である。雰囲気を伝えんがための例示であり、パクリを指摘するものではない。
平易な言葉を使い、情景描写なり動作説明しているので、非常に読み易い。
また、一言でファンタジー物と言うのは簡単だが、研ぎ澄まされたCG映像ではなく、柔らかなアニメ映像の似合う作品だと思う。
2万字枠に収めようと無理をしたのではないと思うが、終盤、若干の説明不足を感じた。モゴモゴしか書けないが、そっち路線の終わり方? 元祖は? と思わないでもない。
とは言え、短編にはMAX2つが信条なんですが、星3つ付けました。
雪に埋もれる山里に住むラフィは、御使い様と呼ばれる巨大な獣の世話をする巫女である。里は、もうじき始まる十年に一度の祭りの準備でみなが忙しく、巫女であるラフィは初めて経験する祭に緊張していたのだが、そこへ里の外から招かれざる客がおとずれる。
本作は、ありがちな冒頭から入って、後半意表をつく急展開を見せる。
御使いとは、人にとって、神なのか悪魔なのか? そして巫女の役目とは?
架空の世界を舞台にした物語であるため、民俗学といってしまうと齟齬が生じるかも知れないが、貧しい山村の、神を敬い、同時に神を恐れて生きてきた人々と、外から入ってくる外界からの異なる考え、価値観、そして科学と文明。
緊迫したクライマックスとともに、胸を打つ展開。
人はいつまで、神と生きることができるのか? いつから、われわれは神を捨ててしまったのか?
胸にずきりと突き刺さる作品である。