113話
「ドミニク、さん…………?」
突然の登場に驚きを隠せない。何かあったのかと慌てて動こうとした、のだが。
その前にスカイがドミニクの制止すら気に止めることなく、真っ先にこちらに飛び込んできた。
脇目もふらず止める声を聞くこともなく、スカイはただただまっすぐこちらに向かって突進してきていて。レイラは次に来るだろう大きな衝撃に気づいてさっと顔を青くさせた。
なぜならスカイは身体も力もレイラに比べて大きいのだ。しっかりと量ってはいないが体重だっておそらく人間の三倍以上はあるはず。それが一直線に、放たれた一つの矢のように飛び込んでくるという恐怖は考えただけでも恐ろしいはずだ。
いつもはスカイの方も力加減を考えてこういうことは抑えてくれているのだが、今回は不安も相まって全力で突撃してこようとしている。きっと主の無事を何が何でも確認したいのだろう。
ただ、レイラは身体に力が入ってない起きたばかりの自分がとうてい飛び付いたスカイを支えるのができないことなど、身をもってよくわかっていた。
それをわかっていたからこそ、レイラはとても焦ったのだ。
―――しかしその心配はすぐに掻き消えることとなった。
というのもいつの間にか客室に戻って来たディックがスカイの首根っこを掴んで押さえつけたからだ。おかけでスカイは急ブレーキをかけられたように踏みとどまる事態となった。
しばらくはジタバタと暴れていたものの、落ち着いてくるとゆっくりと歩いてきてレイラの手に頭を擦り付けてきた。心配をかけたことに責任を感じたレイラは、少しの間スカイの頭を存分になってやったのだった。
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