112話


            *  *  *







 ふっと意識が浮上して目を覚ませば、太陽の光が真っ先に飛び込んできた。眩しいくらいのそれにレイラは目をギュッと歪ませ、瞬きを繰り返し光を緩和させていく。

 そうすれば少しずつではあるが目が光になれてきて。それから瞬きを何度もしたせいか、半分ほど眠っていた頭もすっきりと覚醒した。


 時間はいつだろうかと片隅に思いながら、レイラはあたりを見渡す。起きようとした身体は重く感じたので横たえたまま、顔と目をキョロキョロと動かした。

 今いる場所はあの客室のベッドの上だ。窓辺の近くなので開いた隙間から吹く風が涼しくて気持ちいい。それにカーテンが照りつける太陽の光を遮ってくれているおかげなのか、部屋の中はあまり暑苦しいと感じなかった。きっとディックあたりが配慮してくれたのだろう。

 隙間から見える外の様子を確認したところ、どうやら時間帯はお昼頃のようだ。微かにだが風に乗ってご飯のいい匂いが漂ってきている。匂いにつられてお腹が小さく音を立てた。


 顔を赤くしつつも、レイラはゆっくりと上半身を起こしていく。

 長い事眠っていたせいであまり力は入らないが、とにかくベッドの上でもいいから座りたかった。いつまでも転がっているのは恥ずかしかったから。





 ちょうどその時。

 ガチャリと客室の扉が開いて、誰かがなかに入ってきた。その音に気づき扉の方に目を向ると。

 そこにいるのは嬉しそうな鳴き声をあげたスカイと、

「あぁようやく起きたのじゃな。身体は大丈夫かの?」

 なぜかドミニクの姿がそこにあったのだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る