僥倖の魔女 プロット2
死人が蘇った恐怖、事件へのトラウマから主人公はその場を逃げ出してしまう。
あてもなく街をさまよう主人公の前に、再び魔女が現れる。
自分はやはりこの得体のしれない化け物に遊ばれていただけで、これから殺されるのかもしれない。
精神の許容値を越えた主人公はついに泣き出してしまう。
俺を幸せにしてくれるんじゃなかったのかと呻く主人公に魔女は一切の憐れみを見せることはない。
それどころか、あれは嘘だと悪びれもなく告げる。
魔女はこういった。
三十余年、お前にはいくらでも自分で幸せを掴むチャンスはあった。
選ぶということ自体が生き物に与えられた紛れもない僥倖なのだ。
その力を使い続け、結果訪れたお前の現状に救済の余地など微塵もないと。
ならなぜ自分の前に現れたと主人公は問う。
そして魔女はすべてはあの娘の願いだと答え、少女が魔女の弟子となった経緯を話し始めるのだった。
===(飛ばしていただいてもかまいません)===
選択の余地を無限に残し存在そのものが因果の塊である子供は、あの日少女を襲ったようなバケモノ「堕ちた魔女」の格好の食糧だ。
魔女そのものの絶対数が少ないため、世には知られてはいないが太古から繰り返されてきた営みであった。
そして常人を越えた因果と魂を持っていた少女は、あの日それに巻き込まれた。
通常一般人と魔女のような怪異とは、因果が結ばれていないためかかわりを持つこと自体ができない。
例外として、強大な魔女が無理やりに因果をつなげるといった芸当を行うこともある。
しかしほとんどの場合、素養のある人間を魔女が食らう食事でのみ人と魔女は接触する。
その際のみ、人から目撃される恐れがあった。
それを避けるためバケモノはあの山奥まで少女を連れ出した。
常であればそのまま狩られ、そして終わっていた少女。
しかしたんなる偶然でその場に通りがかった男がいた。
その男は何の力も持たない一般人で、バケモノを打倒しうる術など持っているはずがない。
しかしその男は、ほんの少しだけ人より正義感が強かった。
バケモノに食われ今にも命尽き果てようとしていた少女の助けてという言葉につい体が動いてしまい、バケモノにタックルを仕掛けたのだ。
だが男はあっけなく魔女に振り払われ宙を舞い気絶する。
だが食事に夢中だった魔女へのその一撃は、ほんのわずかな時間ではあったが隙を生んでいた。
バケモノはその食事の際、一切の邪魔が入らないよう細心の注意を払う。
人に目撃されないような場所を選ぶのもその一つだ。
だがそれ以上に、バケモノが恐れなくてはいけない存在があった。
あらゆる因果を統べ、どんな奇跡をも起こす伝説の魔女「僥倖」
彼女は堕ちた同類達であるバケモノを忌み嫌い、容赦なく殺す。
そのためバケモノ達は、決して「僥倖」との因果を交わらぬよう繊細な魔法を用いて生き延びてきた。
そして男が生んだごくわずかな因果のほころびを辿り、伝説の魔女は姿を現した。
すぐさまバケモノを滅ぼした魔女だったが、少女は既にこと切れていた。
人間として彼女を救うことはできない。そのため魔女はその場に残っていた少女の魂へ、自分の弟子にならないかと提案する。
そして少女はそれを受け入れ、バケモノの亡骸と共に魔女はその場から消え去る。
残されたのは少女の遺体と気絶した男、主人公の二つのみとなった。
かくして目覚めた主人公は事件の容疑者として扱われ、転落人生を歩むことになる。
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魔女はあの時少女を殺したのは自分の同族であり、魂となった少女を弟子に取りこれまで過ごしてきたと語る。
救われるべき僥倖を得る資格をもつのは少女であり、主人公ではないと。
主人公からすれば、自分の人生をめちゃくちゃにした原因が目の前に現れたことになる。
話を聞き終えた主人公は無論理不尽さに怒りを覚えたものの、それを表に出すことはなかった。
少女は被害者であり、バケモノはすでに死んでいる。
唯一文句を言えそうなのは目の前の魔女だが、あのバケモノ以上の怪物ときている。
歯向かう気概すらもう持ち合わせてはいなかった。
そんな主人公を魔女はつまらないと切り捨てる。
そして魔女は少女の願いへと話を進める。
魔女にはその力を振るうにあたり、自身の願いが必要だった。
少女は魔女に「世界が幸せになりますように」と答えた。
幼いゆえの、だからこそ強く尊い願い。
少女の願いは十数年の時を経てなお色褪せず、そして修行をやり遂げた。
見習いとはいえ魔女になった少女は、現実にも影響を及ぼせる力を手に入れていた。
「世界を幸せに」その願いを実現するため少女は夢想する。
そしてその頭に浮かんだのは、自分の肉体の最期。
自分を助けるため死地に飛び込んだ、一人の男の人の姿だった。
言いたいことを言い切ると、魔女は去った。
魔女はあくまで弟子の仕事ぶりを見学にきただけの傍観者であり、少女の言葉に嘘偽りはなかった。
そんな事実を最初は信じない主人公。
だが少女の言葉、行動には悪意をまるで感じなかったことで徐々に真実を受け入れていく。
主人公は家へと帰り、少女を捨てて逃げたことを後悔していた。
するとJKが少女を連れて家を訪ねてくる。
人助けを行ったそのすぐ後で、親戚の娘を放置しいずこへと消えた主人公。
JKは主人公がどういう人間なのかを測りかねていた。
なので主人公を庇う少女の言を信じ、何も聞かずに少女をおいてJKは帰っていく。
みんな心配していると言葉を残して。
少女がやってきた時と状況は同じになった。
お互いにぎこちないやりとりをいくつか交わした後、二人は同時に謝罪の言葉を口にする。
どちらも自分が悪いと譲らず、やがて二人はそのおかしさに気づき打ち解ける。
少女は気づく。主人公がいつのまにかとても幸せになっていることに。
主人公がなぜ救われたのか、少女には理解できない。
だが間違いなく、少女は主人公を救ったのだ。
同じ怪異のせいで不幸になり、そこから腐った自分と他人の幸せを願った少女。 そんな自分を心に残し今なお救おうとしてくれる少女の存在こそが、主人公の救いになったのだった。
次の日、主人公はバイト先へ連絡をする。
不義理を詫びるためであったが、その電話で主人公は店で直接話をすることになる。
主人公はそれを承諾する。
どのような結果になるにせよ、もう逃げないと決めていた。
少女に恥じない自分になるために。
結果として主人公へのおとがめは皆無であった。
日頃の勤務態度と冤罪への同情、バイト先が個人店主の経営する飲食店だったこともあり風評被害の懸念も店主の一喝で消え去った。
そして主人公は店主に二号店のチーフアシスタントとして正式な就労を依頼される。
全てがうまくいった形であり、主人公は有頂天になり家に帰る。
少女は嬉しそうに報告を聞く。
そんな時ふと、主人公は自分が幸せになれたお礼を少女にしたいと思った。
何気なく主人公は尋ねる。
「君にはなにか願いがないのか」と。
少女は虚を突かれた顔で、なぜそんなことを聞くのかと問う。
主人公は真摯に少女への恩を語り、少女はそれを受けついにこうつぶやく。
「お母さんたちに会いたい」
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自分が考えたプロットはここまでです。
なぜ少女が両親たちに会えないのかは、少女が考え付く方法で両親に会ったとしたら間違いなく両親が不幸になることがわかってしまうから。
そんなふうに考えています。
そこで主人公には大人の知恵をなんとかフル活用して、少女と両親が再び出会い、かつ両親たちが前へと進める。
そんなアイディアを思いつき物語をハッピーエンドに終えていただきたい‼
僥倖の魔女 @yumesigoto
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