王子の鬼畜的命令


 サイの心身が怯えに支配されていくのが目に見える。小刻みに震えている娘はだが、怯えながらもなんとか落ち着こうとしたのか、息を吐いて暴れなくなった。


 おとなしくなったサイの様子を見てココリエはにっこり笑う。自分の唇についた血を舐め、サイを眺め、そのあまりの色香につい、ごく、と生唾を飲み込んだ。


 本当に綺麗な体をしている。豊かな胸に今日はさらしを巻いていないのか、女性のふくよかさをこれでもか、と表している。細くくびれた腰もとても色っぽい。


 男を誘惑してやまない素晴らしい肉体。これで今までそういった経験がないらしいのはいいのか悪いのか……いやいや、いいことじゃないか? こんな極上の体が手つかずなんてそれはなんて素敵な幸運だ、とココリエは自然にいやらしい笑みがでる。


「サイ、余が口づけたら口を開けろ」


「……っ、ぃやだ」


「これは願いではないぞ、サイ。借りを返しておきたいだろう? 命令だ、サイ、やれ」


 非情に命令だ、と口にするココリエにサイは首をぶんぶん横に振って拒否を示す。


 しかし、ココリエはお構いなしでサイの頭を捕まえて固定し、唇を噛みつくように奪って塞ぎ、すぐ催促するようサイの唇に舌を這わせた。ココリエの舌が触れて、感触にびくっと震えたサイだが、必死に拒む。


「んうっ!?」


 拒んでくるサイ。ココリエは瞳を細めて仕方なさそうにサイの豊かな胸に手をやって加減しつつ鷲掴みにした。


 びくっ! 驚いたサイの体が先の比でないほど大きく震える。同時に唇の結びが一瞬ばかり緩んでしまった。


 ココリエの舌が隙を容赦なく衝き、サイの唇を割って口にぬるりと舌を滑り込ませる。サイの舌を探すココリエは奥で縮こまっている女の舌に触れて笑みを深めた。


「あ、ふぐっ、んむ、んぁ、や……」


「余にあわせて絡めろ、サイ。逃げるな」


「いや、だ。やめ、ココリエ……っ」


 サイの舌を探り当てたはいいが、怯えるサイは舌をすぐ逃がしてしまうので一度離れて命じる。サイは必死にやめてくれと乞うがココリエは返答代わりに口を塞いだ。


 くぐもった拒絶が聞こえてくる。ココリエは目を細めるも、すぐサイの舌を自分のものに絡めて引っ張り、自分の口に引き摺り込んでゆっくり味わうように甘噛みした。


 サイの柔らかくて甘い舌を味わうのと同時に胸を優しく揉んでやる。震える少女の体は大人顔負けだ、と思いつつきゅっきゅと胸の頂を摘まんで刺激してやる。


「ん、んあ、ぁ、あう、や……んっ」


「いや、じゃない筈だぞ、サイ。気持ちいいだろう? それとも、余がへたくそだと言いたいのか? ナフィのバカがバカにしないくらいには勉強しているぞ」


「いや、いやっや、ほどけっ」


「……そんなにほどいてほしければ、歳相応に可愛らしくおねだりしてみろ。そしたらそうだな、考えてやらんでもないぞ、サイ。さあ、どうする? どうしたい?」


 ただの少女が如くカタカタ震え、全力でいやがってくるサイにココリエは獲物を前にした肉食獣の笑みで迫る。唇には意地悪な笑みを浮かべて、目は据わっている。


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