おはようございます。
先日は、拙作に素敵なレビューを頂き、誠にありがとうございました。私もこの作品のレビューを書いてみたのですが、ご存じの通り後半が掛け合い漫才みたいになっています。
もしも読んでみて、「これはちょっと……」と思われたら、遠慮なくおっしゃって下さい。前半部分だけの掲載にしますので。
☆ ☆ ☆
「……斬られたね」
―斬られた、ものの見事に。読み終わった後、背筋が伸びました。
「けどさあ、まさか『斬られる』なんて思ってなかったじゃん。このタイトルで、この文体で」
―あれだね、『なんとか武闘会』みたいな大会でこの作者と一回戦で当たった奴は、間違いなく一刀両断にされるパターンだね」
「だね。開始早々に会場騒然。『一体何が?』」みたいな」
―まあ、皆さんも騙されたと思って読んで下さい。そして同じように斬られてみて下さい。
「しかし何だろうね、この鮮やかな『斬られた感』は」
―ネタバレになるから詳しく言えないけど。読み終わった瞬間に、作者の名前から登場人物の描写、はては応募しているコンテストにいたるまで、すべてがミスリードさせるための布石だとしか思えなくなってくるのがすごい。
「ある意味斬新だよね。読む以前に作品の外側から布石を打ってくるんだからさ」
―斬新といえば、この間見たコントのネタがすごく斬新でね。
「へえ、どんなふうに斬新だったの」
―(声をひそめて)出てくる人がね、バナナの皮を踏んづけて滑るんですよ!
「どこが斬新だ、それの」
―ビックリした~!
「ビックリしねえよ。つうかバナナで滑るネタを見てビックリするお前にビックリだわ。
……あのさあ、今どき誰もやらないよ、バナナの皮踏んづけて滑るネタなんて」
―やりませんか?
「やらないよ。バナナのネタで滑るネタなら今ここでやってるけどよ……
つうかさ、ありがちなんだよ、お前の言うことはいつも」
―「ありがちですかねえ?」
「ありがちと言えば、このあいだ観たテレビドラマなんだけど。すんごいありがちな出会いをしたカップルがいたんだよ」
―へえ、どんなの?
「図書館でね、同じ本に伸ばした手が触れあって」
―罵り合いになる、と。
「ケンカしちゃいけない。じゃなくて、それがきっかけでお付き合いが始まるんだよ」
―この『実録!浦島太郎外伝』はアタイが先に目を付けたんだよ!みたいな。
「なんだよ、そのいびつなタイトルの本は……いや、同じものを選んだり欲しがったりする相手とは、たいがいウマが合うもんだよ」
―そうなんですか?
「そうだよ。実はおれが今つきあってる相手も、そんな感じで知り合ったんだから」
―え、あの人と?
「ええ、そうなんですよ。思い出すなあ、あれは三年前」
―銭湯の脱衣所の同じロッカーに伸ばした手が触れ合って。
「……‥いや、俺のパートナーは女だから!」
―ええー!そうだったんですか?
「失礼だな、てめえは。多種多様な意味あいで……きっかけは、あれだよ、ほら」
―ザクに襲撃されたコロニーで、偶然見つけた新型モビルスーツに同時に乗り込もうとして。
「男の子限定だって、それは。つうか俺も彼女も地球はおろか国内からから一歩も出たことありませんから」
―じゃあ、いじめっ子にバカにされて同じネコ型ロボットに同時に助けを求めようとして。
「男の子限定だよ、それも。だから俺の彼女は女だって」
―じゃあ、子供にいじめられているカメを助けようとして同時に手を差し伸べて。
「それも男の子限定だって。つうか浦島何人いるんだよ。近頃の幼稚園の発表会か」
―で、最後は同じ玉手箱を開けようとして手を伸ばして眼と眼が合うと。
「だから浦島太郎はもういいっての」
―で、モクモクって煙が出て、じいさんになった浦島太郎が何十年ぶりに家に帰るんだ。
『今帰ったぞー』って。こう、折詰めの土産をぶら下げて。
「また、ありがちに戻っちゃった。古いなあ、折詰めぶら下げて帰ってくるオヤジとか」
―『おみやげのバナナの皮だぞー』
「それは斬新だな。もうういいよ」
<了>
作者からの返信
ナンですか!
カレーにですか!
ライスですか!? いいえ、ナイスです!
というのは置いといて、あらためてありがとうございます。
いや、敵いませんな。本当にありがとうございます^^
掛け合いの妙がとても楽しく。このセンスに脱帽です。銭湯の所が特に笑えました。
『え!?』みたいな?
私、一発でファンになりましたよ!(いや、すでにファンです!)
バナナの皮で入って、バナナの皮で落とす。バナナの皮いっぱいの折詰の箱。
あけた瞬間のびっくり感は玉手箱の比じゃないね!
びっくり物語として扱ってもらって本望です^^
ありがとうございました!
私とは直接関係ないーーーフラグでなければ良いのですが。
また読ませてもらいますね。
作者からの返信
ありがとうございます^^
玉三郎さんは果たして?