マキャヴェリズムキャベツ
シュガリウス
1枚目 曇華一見のエヴァレット
シュッ、シュッ。手にした小さな電子部品にエアーガンを噴射する動作は洗練され無駄がなく、まるでベルトコンベアと同機している様であった。
黒縁メガネの奥で澱んだ眼が壁掛け時計から12時という情報を読み取り、機械的に作業を中断した。ベルトコンベアを流れる製品の様に作業場からトイレ、トイレから控え室へと移動し、一番奥の座席へ腰を下ろす。
作業者の加藤真広は高校卒業後に入社し、今年で12年目を迎えたが職場での飲み会には顔を出さず、今この瞬間も一人控え室の隅っこで弁当を食べている。
弁当を食べながらスマホをバディに携え、お喋りな先輩が空気を独占する事を意識の外へ追いやろうと日々奮闘する三十路へと成長を遂げていた。
職場ではファンタジーストライクというアプリが流行していたが、真広は一人黙々と肉食恐竜αをプレイし同僚と合い入れる事なく荒野をただひたすらに駆け抜ける様、自己完結の世界を編み上げていた。
もちろん、真広の学生時代は灰色の青春であり、黒歴史のおまけ付きである。
マキャヴェリズムキャベツ シュガリウス @SUGARIUS
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