ひゅーたろうとの再会

1/22  inカトマンズ 


 早朝に目が覚める。腹の調子は悪くなく、気分がいい。今日は朝から“カミ”を試す予定なので、さっそく準備する。分量がわからないので、赤い“カミ”を半分にカットする。パンガンのマッシュの後遺症で初“もの”はどうしても慎重になってしまう。カットした“カミ”を舌の上に置く。


 ベッドに寝転がり、“火の鳥”(手塚治虫のまんが)についての本を読む。「マジでおもしろい!」って、ほどじゃないけど読み続けてしまう。“火の鳥”の一冊ごとにこめられた伝えたいテーマ、遊び心がよくわかる。小さい頃は読むたびに深い恐怖に襲われたが、怖くなるのに読みたくなる。怖いものみたさなのか、自然にひかれてしまう。“火の鳥”は漫画で一番大好きだ。火の鳥全巻をむしょうに再読したくなる。


 1時間経過、特に何も起こらない。“カミ”の効きがいまだにわからない。わかっているのは眠れないことだけだ。一服いれれば変化が出てくるかも、そう思いチラムで一服する。カトマンズの“ねた”は良い、空腹の体に浸透する。“カミ”のことを忘れて読み続ける。手塚治虫は偉大だ、人間の持つ可能性を見事にあらわしている。火の鳥を読み終え、昼寝する。


 目が覚めるとすでに夕方、ぶりってアイスを食べに外に出る。


 後ろから誰かが自分を呼ぶ、ふり返ると、ひゅーたろう! バンコクで初めて話した日本人だ。あれから三ヶ月以上経つよ、久しぶり。まさかこんなところで再会するとは思わなかった。立ち話をしてからアイスを買い、ひゅーたろうの泊まっている宿へ行く。


 部屋に入りまず一服する。ひゅーたろうは結んでいた長髪をばっさり切り、より男前になっている。小さいわりに男らしく、まさに九州男児だ。


 インドをまわってからネパールに来たらしく、やはりインドの移動はつかれるらしい。それにしても長い期間海外にいるな、海外に来た当初に知り合った日本人はみんな帰ってしまったので、知り合いがいるとは思いもしなかった。けど、もう少しで日本に帰るらしい。お互いの旅の話で盛り上がる。


 夜になり、ぶりすぎと昼の食べ物が腹にひびき、宿へ戻る。思考能力が低下してふらふらだ。ベッドに横たわり、本を読みながらいつの間にか寝てしまう。


 たった3ヶ月前がすごく懐かしく感じるのは、毎日が刺激あるイベントにあふれていて、充実しているからかもしれない。やっぱりあの頃に比べて変わったと自覚する。日本でだらだらしていたときに比べて、過ごす時間が濃縮されている。

思いがけない再会、これも旅の醍醐味かも。

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