だらけている

1/23  inカトマンズ 


 明け方前に目を覚ます。といっても8時前。チベットの8時は真っ暗で、異常でよかった。最近は朝が早い、昨日の腹痛はかるくなっており、動くことはできる。吸い続けているので時間間隔がおかしい。あっという間に日が過ぎていく。本ばかり読んで、記憶に残ること出来事がすくない。


 またかーーー! トイレに閉じこもり何度もゲリをだす。くそー! だいぶ出たのでゲリはおさまる。時間は10時になり、インド大使館へ向かう。


 ネパールに着いてからあまり外を歩いていないので、景色の違いについていけない。チベットの印象が強すぎる。それにしてもめがねをかけた人が多い。顔のりりしいネパール人には良く似合ってる。そして額のトレードマーク、若い人はみんなかっこいいな。


 地図を頼りに歩き、インド大使館に着く。思ったよりも大きい建物だ。入り口には人の列が、面倒くさいな。


 順調に列は進み、敷地内に入る。職員に教えてもらったとおりに進むと建物がある、えーーー! 多種多様な人種がずらっと並んでいる。まるで府中の運転試験所のようだ。あっ、日本人がけっこういる、“ユウザロック”みたいな人もいる。窓口は全部で3ヶ所、どこに並ぶのかまったくわからない。関係ない窓口に並ぶのは避けたい。みんなわらばん紙を持っている。


 とばされた頭で適当な場所に並ぶが、まるで進まない。なにこれ! 待つのがだるくなり、明日にする。手ぶらにインドのガイドブックだけでは装備が足りない。ひま疲れしてしまう。記入用紙だけもらい、歩いて帰る。


 部屋に戻り、ぶりって石丸元璋の“カミカゼ”を読む。石丸元璋は本当におもしろい。「おもしろい作家をありがとう、×山!」ってな、具合で完全にはまっている。


 途中で腹がへったのでパンを買いに行く。おいしそうなパンを買いこみ、部屋でむしゃむしゃ食べながら本を読みつづける。これで紅茶でもあれば文句なし。“だめだめ”状態でひたすら本を読み続ける。


 夕方になり、ゲリを治すため、薬を買いにいく。強めのゲリで正露丸じゃ効かない。科学の力が必要だ。話しかけてきたプッシャーに腹が痛いとアピールして、薬屋に案内してもらう。


 薬を手に入れると、プッシャーが「オピュームを部屋で吸わないか?」と誘ってくる。ゲリで薬を買っている人に何を言っているのだ? けど、断る理由がないのでついていく。


 ディーバースクエア付近まで歩き、別のネパール人と合流する。しかし、いっこうに部屋にり着かない。しまいには来た道を引き返す。だんどりの悪いプッシャーだ、客をこれだけ歩かせるのはふざけている。いつまで経っても部屋には行かず、“コーク”を売りつけてきたので戻ることにする。


 プッシャーはしつこくついてきて、必死に営業する。“コーク”が200ルピーまでさがり、内心ではすぐに買いたいところだが、我慢してしつこく断る。試してないからわからないけど、もし良かったら安く感じるかもしれない。薬屋の場所を教えてくれたので、200ルピーで買うことにする。


 部屋に戻り、ぶりって本を読む。今日はひゅーたろうの部屋に行くか迷っていたけど、行かないことにする。うーん、体がおもいな。


 夜になり、おなかがすいたのでメシを食べに行く。最近、満足に食事をしていない気がする。体はだいぶやつれていて、鏡で自分のあばらを見ると、骨が浮きでて気持ち悪い。


 ということで、日本食屋に入り天ぷら定食を注文する。180ルピーと高いけど最近の金遣いの荒さに比べればなんてことはない。本当にだらけている。具の多い天ぷら定食をおいしくたいらげる。本棚に“旅行人ノート チベット編”が置いてあるので、手に取ると、とまらなくなってしまう。本の読みすぎた、頭ははたらかず、目の焦点が合わない。


 なんとか部屋に戻り、一服して薬を飲む。食べ過ぎて気持ち悪い。本を読みながらそのまま寝てしまう。


 まるで日本にいるかのような便利さだ。欲しいものはだいたい手に入る。カトマンズでだらけているが、こういう生活も悪くはない。

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