12/5　　inバンコク　

　朝に起きる。最後のジョイントを丁寧に巻き、少し吸って部屋でダラダラ過ごす。今日はすこしだけやることがある。今日は国王の誕生日だから休日だ。休みの日に朝から一服するのは気持ちが良い。シャワーを浴びて洗濯をする。洗濯石鹸を使うので汚れがしっかりとおちそうだ。体もごしごし洗いすっきりする。

　服を干しに屋上へ上がると、せいちゃんと見たことのない日本人、そしてクレイジーカナダ人のディアリング！　またいるよ！　これでサードインパクトだ。天気があまり良くないけど服を干すと、ディアリングにつかまる。三回目は聞き取り能力がアップしたせいか、けっこう言葉が聞き取れる。しゃべる暇を与えられないので話す能力はさほど変わらないが、耳は成長している。一緒にいると抜け出せなくなるので、きりのよいところで部屋に戻る。

　ディアリングのおかげでぶりった頭はすっきりする。着替えてからMPツアーへ振り込んだお金をとりに行く。てっきり円でもらえると思いきや、バーツでもらい、手数料がかかってしまう。そこで働いている人が以前にチベットに行っていたらしく、チベットの本を読んでいると当時の写真をみせてくれる。

　チベットの西、カイラスの写真だ。６月なのに雪とすさまじい山の景色でとてもきれいだ。生で見たらぶっとびそうだ。そんなところでジャンベをやると思うと身震いがする。もしかしたら冬はチョモランマをとおれないと脅されるが、とりあえず行ってみよう。

　店を出てコダックに入り、念のためにビザ用の写真を撮る。月曜日だからか、それとも休日だからか店はほとんどお休みだ。両替を済ませ、イギリスのエロ本を買って部屋に戻る。

　お金をあわせようとドル袋の中を調べると、２００ドルぐらい足りない。不思議なものでまったく覚えていない。だれかにとられたのではないかと錯覚してしまうが、たぶん自分だろうな。メシを食べてメールをチェックする。

　部屋に戻り、屋上に行くと白人女性が二人いる。最近は屋上が使えない。ぶりってだらだらする。

　夕方になり、“レックさんラーメン”に行く。値段は張るが、そのぶん料理はうまい。GHに戻ると昨日の女性とせいちゃんがいる。「地球の歩き方」をせいちゃんにあげる約束をしていたので、ひらいにもらったタイと、CH２でかっぱらった東南アジアをわたす。相当お世話になったのでせいちゃんのところでぜひ役立って欲しい。

　スウィーティーの一階でテレビを見ると、近くの王宮でのパレードがうつっている。派手な映像だ。場所は近いし、国王の誕生日ためにバンコクに残っているので、せいちゃんとその知り合いの女性、そして自分の三人で見に行くことにする。

　大通りに出るとどこも人だらけで半端な数じゃない。車にバイク、どこも騒々しい。まずは王宮を目指して歩く。あたりは屋台だらけで、食べ歩きにはちょうど良い。

　人ごみをぬけて広場にたどりつくと、大きなステージが設置されていて、巨大なスクリーンがある。着飾った女性達がステージの上で歌っている。近づこうとすると、「グチャ！」右足がぬかるみにはまる。足首までもぐりこみ、泥だらけ。うーん。

　近くで小さな花火があがる。小さいが、とても至近距離ですごくきれいだ。日本の花火は少しずつしか打ち上げないが、連発で打ち上げているので迫力がある。戻ろうとすると、馬鹿でかい花火が上がる。すごい！　規模はさきほどの比じゃない。こんな近くで花火を見た記憶がないので感動する。本当にきれいだ。さまざまな色に形、飛び方、連発で上げられた花火で空はもやがかかり、幻想的だ。花火が地上近くで爆発し、地面に届きそうになっている。さすがタイだ。

　１５分ぐらいで終了する。飽きる前に終わってくれてちょう良い。三人で近くの屋台で飯を食べることにする。ビールを買い、三人で乾杯する。たがめと芋虫を食べ、ひさしぶりにぶりなしで人とかかわっている自分に気がつく。雨が降り始めたので宿へ戻る。

　“CH２”には日本人達が酒を飲んでいる。いまさらだけど日本人が多いGHだ。ビールを飲みながらみんなと話す。多くの人がミクシーをやっているらしく、パンガンの時から聞いていたので紹介してもらう。便利で使えそうだ。酒がまわり、時間が遅いので、みんなとお別れして部屋に戻る。

　ちょっとだけ残っているジョイントを吸いたいが、我慢してローチ（ジョイントのけしもく）を吸う。ほとんど効き目がない。

　明日から長い道のりがはじまる。「お金は足りるのか？」、「時間はどれくらいかかるのだろう？」、「どうやって行けばいい？」、「寒さは大丈夫なのか？」、「ビザはもつのか？」考えたらきりがないことばかりだ。色々な人の話を聞くと心配になるが、行けばわかるし、結局何とかなると思う。道があるっていうことは、行けるということだ。

　大変そうだけど良い経験になると思う。それに楽しいはず。今は完全に旅にはまりはじめている自分がいる。旅は楽しい。世界は色々なものがあり、飽きない。こんな世界に生きている自分がとても幸せで、人生が楽しい。

　今日でバンコクとお別れだ。来たときはおびえていて、嫌なところだと思ったけど、思い出が一杯だ。