アユタヤ通りのうん◯クラブ
10/29 inアユタヤ
午前中に目が覚める。なぜかプイが部屋におらず、自分一人だけだ。エアコンが一晩中動いていたせいか腹の調子が悪い。腹の波がおさまってから遺跡巡りに出発する。が、玄関にプイが倒れている! どうやらパソコンをいじっている最中に眠ってしまったらしい。
プイのパソコンでデジカメの画像をうつし、USBメモリーへいれる。これで準備万端だ。プイのチャリを借りて出発する。道の途中で一服入れ、街の中心の遺跡群へ向かう。
スコータイの遺跡に比べてアユタヤは一つ一つの規模が大きい。この迫力は見事だ。今日はジャンベを持ってきてないので、遺跡見学のみ。個人的に見たかった木の根に埋もれた仏像の顔は、生でみると迫力がある。とても大きな頭だ。
アユタヤはやはり有名な町なのだろう、日本人のツアー客が大勢見学している。自分は一人、チャリンコで遺跡を回っているが、ツアーはバスだ。なぜかツアーの人たちがこっけいに見える。傲慢な気持ちだろうか、それにしても日本人はみるからに金をもってそうだ。
どうやら吸いすぎたらしく、体が重いので“ワット・プラ・マハータート”のはじの木陰で昼寝する。今日も天気が良くて暑い! 強い陽射しを木の葉がさえぎり、葉の裏が黄緑色に輝いてとてもきれいだ。風は涼しく、木には小鳥やリスなど小動物が可愛げに動きまわっている。気持ち良いな。
二時間ぐらい寝てから再び遺跡めぐりをする。“サガット”のステージに出てくるような、寝転がっている仏像を見てから、モータサイのおっちゃんがおすすめしていた“ワット・プー・カオ・ハーン”へ向かう。おきまりのように道を間違え、観光客がまるでこなさそうな集落を通り抜け、なんとかたどり着く。
とにかくでかい! おっちゃんは夕日が素晴らしいと言っていたので、日がしずむまで塔の上で待つ。天気が良いからきれいな夕日が見られそうだ。じょじょに空は暗くなりはじめ、陽の色もオレンジからぶあつい赤へ変わる。ばかみたいに写真をとりつづける。夕日が雲に沈んで終了する。
帰りにネットカフェに寄ってからプイの家へ戻る。
家に着くとすでに時刻は八時半、パンツ一丁のプイが出てきて、今日予定していたクルージングは中止だと早口でしゃべる。どうやら六時半からだったらしい。急に罪悪感がわいてきて、プイに申し訳ないことをしてしまったと後悔する。だけど、もう仕方がない。
ということでクラブに行く事になる。服装をきちんとしていくらしい。プイから洋服を借りる。ジーンズに襟付きのシャツ、ちょっときめすぎな気もするけどパーティーだしね。二人ともばっちり変装して新市街へ移動する。
アユタヤに新市街があるとは、知らなかった。ホテルに車を停め、ホテルのレストランで食事をとる。高そうな店で料理はとてもおいしい。プイにご馳走してもらい、胃が満たされてから、近くのクラブへ歩いて行く。
横浜にある“ヘブン”の1,5倍ぐらいの大きさのクラブに入る。あれ? フロアにはテーブルとイスがたくさん置いてあり、おどるスペースはほとんどない。かわりに大きなステージがある。プイは後ろのほうのテーブルにつき、ウィスキーのコーラ割りを座って飲む。いまいちよくわからず、ぼーっとあたりを見ていると、急にショータイムが始まる。
なんだこれは! タイ人のカラオケショータイムがはじまり、ひっきりなしにタイ人が出てきては、大急ぎでショーをこなしていく。まわりの人々はそれを見て喜んでいる。急にテンションがさがりはじめる。テーブルを離れて一人で歩く事もできず、プイと一緒にショーを見るだけ。連れてきてもらって悪いがつまらない。つまらなさそうな顔をしているとプイが怒りだす。たしかにプイが怒る気持ちもわかる、しかし、つまらないからしかたがない。
そうなるといろいろと考え込み、「こんなものを見るためにタイにきたわけじゃない!」と思ったりして、ぜんぜん楽しめない。プイの行動が気になりだしたので、ほっておき、テーブルを離れると楽しくなる。
一時前にプイと帰宅する。と思いきや、いつものスナックへ車を停めるプイ、本当にこの店が好きだな。クラブで購入し、あまっているウィスキーをコーラとソーダでわって飲む。会話はなく楽しくない。プイが店の人と楽しそうにしている姿に妙に腹がたち、プイの仕草がすごい気になりだす。プイに帰ろうと言って帰宅する。
いい人だけど、いい人すぎて心配性だ。多少の心配はうれしいが、度をこえるとうっとうしい。心配されると動きに制限がでてしまう。制限のない自由な旅にきているのに、制限されるのはすごい苦痛に感じてしまう。
そんなことを思うプイとの夜だ。
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