なぞのタイ人プイ

10/27  スコータイ→アユタヤ 


 午前中に起きてゆっくりと出発の支度をする。宿のおっちゃんにバスの出発時間を聞くと、昼過ぎにバスがくると教えてくれる。まだ時間があるので、宿の入り口のテーブルに毎日いる日本人のおじいちゃんとおしゃべりする。


 歳は70歳で退職してからタイへひんぱんに来ているらしい。毎年、一年のうちの半年はタイで過ごし、今は車も持っているらしい。借りている部屋を自分専用の部屋にして、冷蔵庫を置いているらしい。完全に沈没しているけど、こういう老後生活も悪くないな。


 一時間程お話をしてからマスターにバス停まで送ってもらう。とても親切なマスターにお別れをして、バスを待つ。小さなジャンベをズボンにひっかけておくと、話し掛けてくる人が多くなった。けっこういいかもしれない。まわりのタイ人とからみながらバスを待つ。


 バスが到着し、スコータイともお別れだ。たったの三日間だけど、のんびりしていて良い町だった。


 バスにゆられて五時間、太陽はすっかりおちてあたりは暗い。街灯が明るい高速道路で下ろされる。どうやって市街地へ行くかわからず、とりあえず歩く事にする。

街までは距離がありそうなのでタクシーをつかまえる。ガイドブックにのっている“オールドBJ”というGHまでお願いする。たよりなさそうな仕草をみせるタクシーの運ちゃんは、見事に宿を間違える。これだからタイ人は適当だ、知ったかぶりはやめてくれ。運ちゃんは近所の人に道を何度も聞き、どうにか宿に到着する。車を降りてから宿までたどり着く姿を見届けてくれる、人の良すぎる運ちゃんだ。


 100Bと安い部屋を借りる。木造住宅で味のある宿だ。


 さっそく近くのネットカフェに行きメールチェックをする。ペグメールが入っておらず、一瞬どきっとする。もし、ペグちゃんと途中で別れたら、、、 一応は考えておかないといけない。デジカメの画像をパソコンにうつそうとするが、うまくいかないので他のネットカフェを探す。


 宿の付近の大通りを歩いていると、タンクトップ姿のタイ人が話し掛けてくる。今までに会った日本人から、だまされたときの話を聞いていたので警戒してしまうが、このタイ人は千葉に交換留学生でホームステイしていたらしく、日本の話を喜んで話している。そのまま立ち話をしていると、飲みにいこうと誘われ、警戒しながらついていく。


 車に乗せられ、少し不安のまま走ること二分、ビアガーデンみたいなところにたどりつく。どうやら平気そうなので中に入り乾杯する。話をしているうちにエリートタイ人だと気がつく。


 プイ、29歳、松下で働くエンジニア。父親は弁護士で母親はその手伝い。姉はスチュワーデスで妹はシンガポール大学の学生だ。三人兄弟全員シンガポール大学らしい。日本語はまあまあ話せて強引なところがある。なんだかんだ気が合いそのまま飲み続ける。


 プイはとても良い人だ。ホームステイをしていた経験があるからか、やさしくてとても気がきく人だ。警戒はとけてついつい飲みすぎてしまう。「明日は家に泊まりに来ないか?」みたいなことを言われ、勢いで了解してしまう。

飲みすぎて気持ち悪くなり、雨の中、プイに車で宿まで送ってもらう。部屋に着いてそのまま熟睡する。


 アユタヤの一日目はプイ!

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