やっと手にした!
10/17 inパンガン
早く寝たおかげで朝の七時に起きる。まだ誰も起きてこなさそうなので、今のうちに一人で海に入る。気持ち良い! 水が温かくて温泉にでも入っているようだ。ぷかぷかと水面に浮いて、早朝の静かな海をたんのうする。
昼過ぎにみんなと会うと、今日は“マア島”に行く予定を立てていて、予定のない自分はついていくことにする。みかんさん、ミッキーさん、まこと君に自分、そして一昨日の夜、ビーチで踊り狂っていたドレッドの日本人のとまと君。一昨日の印象では本当に狂っているようにみえたけど、話して見ると思ったよりも正常、というよりとっても感じの良い人だ。
雨が降り始めてきたが構わず出発する。思ったとおり、途中で激しいスコールに直撃する。雨の勢い、粒の大きさ、量が半端じゃない。びしょびしょになりながら、「マア島は晴れだ」と信じて休まず先に進む。
次第に天気は回復し、迷ったりしながらも大きな問題なく“マア島”へ到着する。写真でみたマア島は、パンガン島からの白いビーチが延々と続いているので、遠いのかと思いきや、予想以上に小さく、とても近くにみえる。曇っていたせいかもしれないが、期待していた感動はない。人は少なくさびれたビーチにみえてしまう。腹が減っていたので近くのレストランでメシを食べることにする。
腹はみたされたので海に入る。夕方の空気は冷たく肌寒い。海はとても奇麗で、遠浅なのだろうか、沖に出ても腰ぐらいの深さだ。けど、なまこが多すぎる! 30cmくらいの太いなまこが海底のいたるところに堂々といすわり、下を向いて歩かないと踏んでいやな思いをしてしまう。
地雷に気をつけながらさらに沖に出ると、頭まで潜ってしまう。海底には岩がたくさんあるので気をつけないと足を切ってしまう。海に飽きたので焚き火をして冷え切った体を温める。
海に沈む真っ赤で大きな夕日を見てから戻る。綺麗な夕日だ。
みかんさんは知り合いの子連れの女性と夕食を食べる約束をしているので、宿に戻らずにその人が泊まっている宿があるサンライズビーチへ向う。自分は泊まることはなさそうなホテルに到着する。部屋のドアは自動で、部屋はエアコン完備、目の前には小さなプールがあり、ホテルの入り口には美味しそうなレストランがある。ヨッシーさんという年齢不詳の女性の方と、げんと君という名前の男の子が一人、子連れでパンガン島にくるのはいかれている。とても素敵なことだ。6人でヨッシーさんの基準の高そうなレストランへ入る。それぞれが食事を注文し、おなかが減っている自分は、スズキの網焼き、海老の網焼き、ふかしたジャガイモ、それにすっかりお馴染みのフライドライスをいただく。隣に座っているとまと君は貧乏なので悩んでいる。
おいしい海産物を食べながら世間話をする。とまと君は沖縄に住んでいて、さとうきび畑で働いているらしい。足と背中にタトゥーの入ったドレッドのとまと君は同い年だからか、やけに気が合う。
食事を終えてみんなでビーチへ行く。時間が早いからか人は少ない。女性方と別れて男四人で行動する。明日はこの島に来るきっかけとなったフルムーンパーティーだ。明日の準備のために“ねた”をどうやって手に入れるか話していると、目の前を一人の日本人が通りかかる。そくざに話しかけると、手に入る場所を知っているらしい。それぞれが欲しい“ねた”を相談して大麻を4つとMDMAを1つ買うことに決定する。全員で買いに行くと目立つので、代表して自分がその日本人について行く。
ビーチの裏にあるレゲエバーに着く。薄暗くブラックライトが光る店内に入ると、店の男がギターを直している。修理が終わるのを待ち、どこにでもいそうなタイ人スタッフに“ねた”が欲しいと伝えると、慣れたような無駄のない動きですぐに用意してくれる。受け取る瞬間の緊張感がなんともいえない。よし、ぶじに“ねた”を手に入れたぞ!
みんなのところへ戻り、さっそく“ねた”をチェックしたいと話していると、店を案内してくれたバサという名の日本人の宿に誘われる。なんと! バサは青山学院大学のつながりで、地元の知り合いのウーヘイとアカイのことを知っている。世間は本当にせまい。
大麻のほうはまあまあ入っていて、3~4グラム程度、茶色だがギュッと固まっている。質は良さそうだ。あぶったタバコと混ぜてバサはジョイントを作る。さっそくまわってきたジョイントを一服する。あーーあ、海外に来て初のブリ、相当うまい! 全員うれしさと勢いにまかせて2本、3本、4本、さらに5本とまわしつづけ、あきらかにオーバーペースだ。3本目でまこと君は部屋から出てダウンし、ミッキーさんは完全にきているらしく、にやにやしているのだが、とまと君とバサは平然とジャンキートークに夢中になっている。これは相当まわっている、脳みそはほとんど働かず二人の会話の流れについていけない。そんな自分の存在がバサの視野に入っていないようにも思える。
ビーチは人でにぎわう時間になり、みんなで向かう。煙が入った体で行ったらどうなるのだろう? 久しぶりに体験する新鮮な状態に、音であふれるビーチの状況を考えるとわくわくして興奮がとまらない。みんなの動きをみると似たような状態みたいだ
ビーチに到着し、それぞれ好き勝手に踊りだす。ところが、重い“ねた”のせいで体が思うように動かない。まわりにいる人間はキ○ガイのように激しく踊っているのに対し、一人だけヘタっているのは嫌だ。負けないように気合をふりしぼって踊る。
ときおり、ビーチに座って海を眺めて休み、気がむいたら踊りに戻り、気がついてみればすでに四時半だ。「あれ?みんないない。」いつの間に帰ったのだろう? 知り合いはすでに誰もいない。一人さびしく夜中の道を歩いて帰る。
長い一日だった。ブリは手に入り、明日は待ちに待ったフルムーンパーティーだ。一体どうなることか?
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