5話

保健室にやっとたどり着き、ベットを借りて休ませてもらうことになった。すこし貧血症状も起こっていたらしい。情けない自分の軟弱な身体もそうだが女にあんな風に貶されて負けてしまったことが一番情けないのだ男なのに。


ベットに寝転がっていると、隣のベットにも誰かがいるらしく影が起き上がりじっとこちらを見つめている視線を感じた。疲れてるしまたロクでもないやつだったら困るから放置することにしようとした瞬間向こうからベットの間にあるカーテンのような仕切りを開けられた。そしてガッツリ目が合った。


小春「あ、初めまして?」


?「えっ、小春なんで…?」


やってしまった、何が初めましてだ。小春の知り合いではないか!こうなったら誤魔化すしかない


小春「な、なーんて冗談ですわよ、おほほほほ」


クラスメイトに小春は学校では敬語を使っていたと漏らしていたので使ってみたがこれで合ってるか?


?「事故に遭って頭おかしくなっちゃった?」


や、やってしまった!これならまだ男口調で話してたほうが誤魔化せてたような気がする。硬直していると向こうから話しかけてきてくれた。


麗花「千石麗花。これが私の名前。」


小春「ああ、麗花ちゃんね!思い出した」


麗花「さっき忘れてたくせに…」


そう言って頬を膨らます麗花ちゃんはあのクラスメイト達よりもとてもかわいく見えた。


麗花「小春、本当ごめん私のせいでこんな目に遭わせて。」


こんな目?クラスメイトとかの件か?


小春「いやっ、大丈夫!あんなの放っておけば何とかなるだろ…多分」


麗花「そういうレベルじゃないと思うけど。」


小春「だよなぁ…」


麗花「さっきから思ってたんだけど貴方誰?」


小春「え?」


全身に冷や汗が走る。もしかしてバレてるかもしれないと不安が過る。


麗花「まぁ、別にいいや。誰かは知っても私ずっとここにしかいないし。」


小春「ずっと保健室にいるの?」


麗花「うん。このこと誰にも言わないで」


小春「え?どうして」


疑問に思い聞くと麗花はずっと黙り込んだままだった。代わりに何も喋らず作業していた保険医が話した。


保険医「麗花は学校の人たちにひどい仕打ちを受けて行けなくなったの。庇ってくれた貴方にもこれ以上負担をかけたくないからって」


小春「そうだったんですか…」


麗花のほうを見ると俯いたままだったぎゅっと握っている手は震えていた。表情も前髪で隠れて見えないが雰囲気からしてわかる悲しくて今にも壊れそうな…よっぽど辛かったんだろう。小春についてのことも気になるけど今気になるのは…


体を麗華の方に向け歩き彼女のことを優しく抱きしめ頭を撫でた。そのままにしておくことなんてできないから。






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エリート女子高に訳あり女装男子が通います 狐塚。 @kodukas

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