アドリブが苦手、人付合いが苦手、趣味は自作webサイトの更新。そんな日陰の女子高生。
自分の女子高のCTFクラブが仕掛けた悪戯を発端に、主人公は『Capture the Flag』の世界に足を踏み入れます。
Capture the Flag、CTFとは情報セキュリティの技術を競い合うセキュリティコンテスト(という名目のハッキングコンテスト)で、技術と発想を駆使して隠された情報を取得し、ポイント制で争う競技型の旗取りゲームです。
初期メンバーの経験者2人と違い、主人公は独学でHTMLを覚えたくらいの初心者。専門用語もくどくない程度に解説が入るので、サイバーセキュリティの入門書としても楽しく読めます。
後半での立場の変化からくる主人公自身の心境の変化、夏を通したメンバー内での関係性の構築、大会という目標に向けた挑戦と、その結果。
青春モノ、日常モノ、部活モノの面白さも、無駄なく無理なく詰まった良作。
同級生との談笑も苦手なほど内気な主人公が、ちょっとしたトラップに引っ掛かるところから始まっていくストーリー。
サイバーセキュリティという題材としては、このような性格の主人公はあまり見かけないため、非常に新鮮な気持ちで読み進められました。
専門用語が頻出する。
しかし、面白い! スラスラと読める。
平和が脅かされたりするわけじゃない。
しかし、面白い! 懸命な彼女たちの姿を応援したくなる。
読み進めるたびに彼女たちの苦悩や喜ぶ姿がドンドンと明確にイメージとして浮かび、あっという間に読み終えてしまいました。
読み終わってしまったことが、非常に名残り惜しいほどです。