第35話:母の老人ホーム入所2(201804-06)
次に七郎が、実は、この近くに、私が、開設した「入間の里」と言う名の学生寮があって週に何回も通っていることを話して、この近くの老人ホームなら恵子を連れて、毎週、来ることができるんですよと、言うと本当、それなら寂しくないわと言ってくれた。
七郎さんの「入間の里」学生寮を見せて下さると言うので、行く事にした。学生寮に連れて行くと、お母さんが、立派で新しい建物ね、お金かかったでしょうと、笑いながら言った。その日は、ちょうど、老人ホームを紹介してくれた木元さんが、来られていて、母を紹介した。木元さんが、七郎が自費でこの施設を立ち上げて、全国からの苦学生に安く部屋を提供して、地元のシングルマザーに仕事を与えてくれたんですよと話してくれた。お母さんが、すごい本当と七郎に聞くので、照れくさそうに、まーねと、おどけて言った。
お母さんが、この人、娘の旦那さん、何だけど、どんな仕事をしてるのか、生い立ちのことなんかも、全然、教えてくれないのよと言い、でも、素晴らしいことをしていたんですね、見直したわと笑った。オープンカフェで、料理長の鈴木良三さんが、お母さんに挨拶して、折角、お見えになったんですから、おいしい、狭山茶と名産のまんじゅうと、お団子を食べていって下さいと言ってくれ、少しして、持ってきてくれた。お母さんは、実は、私、お茶には、うるさいのよと言い、狭山茶の香りをかいで、ゆっくりと味わうように飲んだ。おいしい、本当に美味しいと言ったのだ。料理長は、喜んで、お口に合って、光栄ですと、笑いながら言った。
すると、回りの連中からも笑い声が聞こえた。母は、すっかり機嫌を良くしてくれ、いろんな人の挨拶に、答えてくれた。30-40分後、七郎と奥さんとお母さんが、みなさんにお別れを言って帰って行った。帰りの車中で、お母さんは、上機嫌で、恵子、良い旦那とめぐり逢って、よかったねと言い、恵子さんが、お母さんの子だから、良い男を見つける才能があるのよと、笑って返した。
母が、すっかり元気になって入間に連れてきて良かったと思い母に入間の施設に入居して良いのですかと聞くと景色も綺麗だし、気に入ったわ。それに、あなたたちが毎週来てくれるというのだから入間の老人ホームに入りますよと言ってくれた。
その後、お母さんは旦那さんの死を乗り越えて元気を取り戻して、若い頃の様に、元気な、お節介さんに戻る事ができた。その後、恵子にも秘密にしていた「入間の里」学生寮の仕事や、スイスのプライベートバンクの話も打ち明けた。特に、スイスのプライベートバンクでの投資について、七郎が忙しいときには、変わって、メールを打ってプライベートバンクの職員にいろんな指示をしてくれるようになり、七郎は、入間での仕事に専念できるようになり、約束通り、毎週1-2回、お母さんの施設への訪問は欠かさず行う様にしていった。
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