第33話:父の葬儀とオープンカフェ(201803-05)

七郎が、葬儀屋に電話したり斎場の空き状態を聞いたり忙しく電話をしていた。どこも混んでいたので7日以上、待たないと空きがない。そこで入間市の木元さんに電話を入れて葬儀場の手配をお願いした。すると30分後に、遠いけど、埼玉県飯能市の飯能斎場ならの4日後の午後に空きが出たようで一応、抑えたと言ってくれた。

 葬儀屋に電話すると、えー飯能ですかと驚いていたが葬儀の打ち合わせに来てくれると言った。幸か不幸か参列する人は総勢18人程度であり葬儀当日の朝、横浜から、27人乗りの中型バスを借りて1台に関係者全員を乗せて出かけることにした。

 葬儀屋さんに必要なものを急いで揃えてもらい、準備ができた。恵子のお母さん吉永仁美さんの容態は、落ち着いてきたが、旦那さんの葬式に参列するのは、やめた方が良いと精神科の先生からいわれ、葬式のことは、言わないでおいた。


 恵子のお父さんの葬儀当日は、どんよりとした曇り空で飯能に入ると弱い雨が、みぞれになり、寒さが一段と厳しくなった。斎場に到着すると、既に、葬儀屋さんと、斎場を手配してくれた入間の木元さんが来られており、斎場の手配のお礼を言った。こちらこそ世話になっているんだから、これくらいのこと、当たり前だと言った。また、できるだけ力になるよと、自然に会釈してくれた。その後、控え室で待ち、午後1時から葬儀が始まり読経が終わり弔辞、弔電が読み上げられ、精進落としが出て、4時には終了して、解散となった。


 帰り際、木元さんが力を落とすなよと、やさしく言ってくれ熱いものがこみ上げた。参列してくれた山下洋一さん三保さんにも、お礼を言った。雨、みぞれもあがったが、帰りは、八王子あたりの渋滞で、七郎が自宅に着いたのは7時過ぎになってしまった。


 風呂に入り、すぐ床に入って休んだ。恵子に、貿易帳簿の点検をお願いして、翌日、入間の学生寮に向かった。「入間の里」学生寮に着くと料理担当の鈴木良三さんが、昨年の夏過ぎから、炊事、調理にも慣れてきて、多めに、料理を作り始め、学生達が登校し終わった10時から、オープンカフェを開いたんですが、入り口に10時から看板を上げて、近くの中高年の方が、来てくれるようになって、最初、1つのテープルだけだったんですが、そのうち、和食弁当と洋食ランチも始めたら、お客さんが増えて、2テーブル、3テーブルになり、繁盛してきたんですと言った。


 昨年のクリスマスは10時~午後4時まで盛況でした。 学生の食事は、しっかり作っていきますから、ここままオープンカフェを続けて良いですよねと言うので、もちろん、地元のみなさんに喜んでもらい、ついでにがっぽり稼いでくれと笑った。その分、僕の出費が減るから助かるよと、笑いながら言った。基本的に運営は、君に任せるよと伝えておいた。不都合なこと、面倒なことがあれば、電話してくれるように言っておいた。料理担当の鈴木さんが、儲かったお金は通帳を作って、入金してありますからというので、その金で、良い食材を買って儲けてくれと言った。しかし鈴木さんが、そのお金を自分だけがもらうわけにはいかないというので、七郎がわかった、年末のボーナスとして、職員に分配しようと提案した。料理長の鈴木さんも、そうしましょう、そうすれば、ここで働くみんなも喜ぶでしょうと言った。

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