第30話:ティムからの寄付(201501-12)

タイからの訪問団が、最後にタイで同じ様な施設をつくりたいのだが大事な事は何かと聞かれ継続することですと答えた。その為には自分のマインド(気持ち)を制御して、平常心でいる事。もう一つ、こういう活動に一般市民を巻き込んでいく事、この2つが大事だ、と言うと、団長と思しき人が、近くに来て、肩を叩いて握手を求めてきて、次々と全員と握手し終了した。また、わからないことがあれば、メールで教えてよと言うので、メールアドレスと、「入間の里」のホームページを教えた。


 2015年2月1日に七郎に、ティム・RSCと言う名前でメールが届いていた。昔、世話になったリチャードの息子のティムからだった。ティムとは、彼が、アメリカの東海岸のニューヨークで働き出してから、全く、音信不通だった。風の便りでは、RSC家の仕事をして、ロービイスト(政治圧力団体・スポンサー)という政治家・団体を動かす仕事をしていると聞いていた。いま、アメリカ支部のバイス・プレジデント(副社長)No2に上り詰めたと書いてあった。


 七郎の事は、コストコ本社メンバーが日本の慈善団体の学生寮を訪ねたという小さなニュースで知ったそうだ。この記事を見て、あまりの懐かしさに、メールを送ったというのだ。そこで、継続的に寄付活動をして上げたいと思っていると書いてあった。ついては、寄付したときの入金明細書と、七郎の活動団体のサインが欲しいと書いてあり、了解した。どの位の金額を送ったら、不自然にならずに、都合が良いかと尋ねてあった。


 そこで、寄付の送り先を、団体と、ティム個人と2口に分けて、月1万ドルずつ、七郎の慈善団体の口座に入金して欲しいと書いて返信した。翌日、ティムから、了解、今月から送ると書いてあった。おもわぬスポンサーがついて、天国のリチャードにお礼を言った。数日後、奥さんの恵子さんの紹介かたがた、リチャードの息子のティムに助けてもらうお礼のメールを送った。


 この日は曇っていたが、リチャードのお墓に出かけた。参拝を終えた直後、一瞬、雲ががきれて太陽が顔を出し、七郎と奥さん頭上に日が差した。まるで、リチャードが微笑み掛けた様な気がして、七郎は、運が向いてきたぞと、明日からの活動に、力がわいてきた。この出来事をティムへのメールに書いた。


 また、七郎の財産でスイスのピクテにプライベートバンクに口座を開き、ファンドで運用したいと書いた。返信で1万ドル以上ならOKと書いてあったので、後日、送金予定額が決まったらメールすると書いた。2016年2月12日、全財産の残金が130億円、76%の100億円を米ドルに両替した約9900万ドルを送るとティムにメールを送った。この9900万ドルを投資ファンドで運用にすることにした。


 その残りの30億円を「入間の里」の運営資金に充てようと考えた。実際の費用は給料総額が2400万円、食費2000万円、電気ガス水道600万円、その他諸費用1000万円を含めて、年間4000万円程度。残金が3億円を切った段階で、スイスのファンドから、日本に七郎の米ドル口座に、送金してもらうように手配した。

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