第23話:苦学生の寮を作ろう2(201301-11)

 七郎は、木元さんに電話して入間の地元で料理経験のある人を募集したいので探すのを手伝って欲しいと伝えた。わかりました、期間は、と言うので半年間というと、それだけあれば、探せるかも知れないと言った。


 6月を迎える頃には、入居の学生の選択も決まって通知した。中には、ご両親から感謝の手紙も多く含まれた。梅雨になり、それがあけると暑い夏、工事現場に冷たいものを持参で出かけた。ビルの外観がほぼ完成して、実際に間近で見てみると大きな建物で驚いた。


 現場監督が順調に仕事が進んでいて今年は建設会社もそれ程、忙しくないので10月には完成する可能性が高いと話してくれた。もう少しでビルが完成し、全員でビルの外構と、一緒にアスファルトで駐車場をつくる。部屋や簡単な間仕切りなので簡単、水回り、電気関係、エレベータ会社の連中もビルができ次第、一斉に工事にかかれるようだと言っていた。


 10月初旬に入間の木元さんの所へ行き、ビルの2,3、4階の男女の学生72人が決定したこと、1階の調理室で、できるだけ多くの食事を提供する事、その時に、この地のシングルマザーを中心とした貧乏な女性達に手伝ってもらうことを提案した。女性達が働いている間は1階の遊戯室で、お母さんが働いている間、子供達の面倒を見てくれる女性を雇い少しでも多くの給料を出したいと言った。確かに、貧困のお母さん達がこの地域でも問題になっているので、それは助かると言ってくれた。


 もう一つ料理人の件を聞くと見つけたよと言い24歳で、今、修行中の料理屋の息子、鈴木良三さん、専門学校を出て栄養士と衛生管理者の資格を取得したそうだ。将来は実家の料理屋を継ぐつもりらしいが、それまで手伝ってくれるという。七郎さんが来るというので、今晩、彼の実家の料理屋で会う手はずになっていると言った。


 夜6時に料理屋に着き食事をして終わった時に修行中の料理屋のご主人と息子の鈴木良三さんがやってきた。がっちりとした体格の好青年といった感じだった。紹介してくれた木元さんにお礼を言って失礼した。


 涼しい風が吹き出した2013年10月下旬、遂に、地上5階建ての学生寮が完成した。11月10日に入居できることを入居予定の学生達に通知した。11月1日(大安)に工事完成の地鎮祭を、行い、木元さんや鈴木良三さん、役場の関係者をお呼びして、執り行った。近くの人が来られていたので、この施設のパンフレットを渡した。その後、前途を祝して餅まきみたいに、せんべい、お菓子、チョコレート、餅などをまいて終了した。


 11月10日の10時前に鈴木良三さんが既に来ていて、調理器具、電化製品の具合などをチェックした。その後、七郎が来たときに、挨拶後、衛生管理者の看板をどこにつけるか聞かれ、調理室の入り口のよく見えるところに、貼ることにした。

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