衣替えで余った綿を使っていろいろぬいぐるみなんかを作ってみるか。
さて、衣替えで綿入れから綿抜きをしたおかげで、現状は綿が結構有り余ってる。
、
まあ新たに購入すれば高く付くので秋までとっておくのが普通なんだが、以前のえびす講でフクロウを作ったように、余ってる布と綿をつかってなんかつくってみたい気もするな。
「とーしゃー」
清花がお気に入りの犬のおもちゃを引っ張ってやってきた。
おもちゃと言っても、木で作った犬っぽい形のものに、簡単な車輪を付けて、ヒモで引っ張って遊べるようにしただけだがな。
「わんわー、うごかなー」
「ありゃ? 車輪が壊れたか」
「こわれた?」
「ああ、どうしてもな」
「やー」
犬のおもちゃが壊れたと言ったら。清花が泣き出してしまった。
まあ、大分気に入ってたようではあるしな。
「わかった。
ちょっと代わりになるものを作ってみよう」
「わんわー?」
「ああ、ちょっとまってくれな」
「あい」
清花がコクっとうなずいてくれたので、とりあえず犬のおもちゃの代替品を考える。
まあ綿と布が余ってるなら、犬っぽいぬいぐるみとかがいいだろうな。
とはいえ商用のぬいぐるみは、一説にはテディベアで有名なドイツ・マルガレーテ・シュタイフが1880年に発売したものが、一番初めのものと言われているくらいなので意外と歴史は新しい。
昔は布も綿もとても高価なものだったから、と言うのもあるとは思うけどな。
無論手作りぬいぐるみは、それよりは少し歴史は古いはずだけど。
実際にぬいぐるみが日本に入ってきたのは、明治の初めにイギリス人が子供の玩具として持って来たときらしい。
21世紀ではおもちゃ屋などで売ってるものから、ゲームセンターのユーフォーキャッチャーなどのクレーンゲームの景品としても、一般的で車にぬいぐるみを飾り付けてる様子もよく見かけたが。
それはともかくまずは、墨で絵を書いてから型紙を作って、それを切った後で簡単に組み合わせて犬の形になるかを見極めたら、その型紙に合わせて今度は白い布を裁断し、それを縫い合わせながら、綿をつめて木槌でしっかり綿を入れ込んでいく。
まずは頭から初めて、体、しっぽ、足、耳などを作って綿を詰めてはそれらを縫いつけていく。
眼とか鼻とかは黒い布を貼り付けたりで、それっぽくしていく。
なんとかそれっぽくできたかな?
「取り合えずワンコだがどうだ?」
「わんわー」
俺が手渡したら清花が、犬のぬいぐるみを嬉しそうに抱き上げている。
うん、清花が喜んでくれるなら俺も嬉しいぞ。
「じゃあ他にも作ってみるか」
「ほかー?」
「ああ、他の動物だ」
茶色の布で猪や熊を作ってみたり、黄色で狐を作ってみたりもしてもいた。
「わーい、しししゃん、くましゃんー、きつねしゃんー」
「乱暴にすると足とかが取れちゃうだろうから優しく扱うんだぞ」
「わあったー」
4つの動物のぬいぐるみを抱えて清花は大喜び。
この時代は人形は木を削ったものか、和紙や草を用いたものや土で焼成された人形などが、主だから、布と綿を使ったぬいぐるみはかなり贅沢なはずだけど、まあいいよな。
「わちしもやいたいー」
「ん、自分で作りたいって?」
「あい」
「んー、ちょっと清花には早いかなぁ」
「はやー?」
「じゃあ、もうひとつ作って見ようか。
動物は何がいい?」
「うさしゃんー」
「ああ、うさぎか。
手足が短くなる分ちょっとは簡単かな?
じゃあやってみるか」
「あーい」
とりあえず型紙に、うさぎの絵を書いていくことから作業は始まる。
「清花も書いてみたいか?」
「あーい」
「じゃあ一緒に筆を持って書いてみようか」
「あい、いっしょー」
紙の上にうさぎっぽい形になるような、絵を書いて行くために清花の手に握らせた筆を俺も握る。
「じゃあ書くぞー」
「あーい」
「こうして」
「こして」
「こうきて」
「こきて」
「こんな感じだなー」
「こんあー」
「此処から先は危ないから俺がやるな」
「あい」
型紙を小刀で切っていき、型紙を合わせてうさぎの形として適切か確認した後、白い布を型紙の形に小刀できる。
「きれたー」
「んじゃ縫っていこうか」
布地を縫い合わせて、うさぎの形になるようにしながら、耳や足なども縫い付けていき、綿を詰めて目の部分に赤い布を縫い込めば完成だ。
「よ~しできたぞー」
「やったー、うさしゃんー」
しかし型紙を作ったのもあってか特にうさぎのぬいぐるみは気に入ったようだ。
きっと寝るときにも抱いて寝るようになるだろう。
しかし、ある程度の厚さのある布を切るのには洋鋏が欲しいトコだな。
そっちは誰かに作ってもらうかね。
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