呼吸する町

作者 mono-di-tri゠テトラ

93

34人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

 日々の暮らしで生じるゴミだけでなく、故人までも「吸収」し、インフラを支える情報として「再生」させる街、遊骸町。だが実際には生きた人間まで極秘裏に「吸収」されていた。葬儀屋として幾人もの故人を見送ってきた主人公は、謎の衝動に駆られて町の真実を探り始めるが——

 落ち着いた雰囲気で始まる本作ですが、それはいわば嵐の前の静けさのようなもの。次ページをクリックする度に、「遊骸町」というシステムを開発した技術者たちの葛藤や、それゆえに生じた狂気が導く生命倫理を踏みにじるような実験、主人公の正体にまつわる衝撃的な真実などが少しずつ明かされていきます。

 転がりだした雪玉のごとく、秘められた狂気が膨れ上がっていくディストピア。しかし吹き荒れた嵐が晴れた先には青空が広がるように、読了後には爽やかな気持ちになれるでしょう。

★★★ Excellent!!!

ありとあらゆるものをリサイクルするリネット。それは人間の遺体すらも循環させ、そこに理解を示してしまった人々の未来のお話。静謐ながらも這い寄るような混沌と恐怖。見えてきた一抹の希望と再生の物語。堪能させていただきました。

最初は「生きている人間がリサイクルされている可能性がある」というシンプルな恐怖が、謎を解き明かすにつれて人間が決して到達してはいけない技術特異点に触れるその狂気を主人公のケイトを通じて感じ、薄ら寒い恐ろしさを感じました。

SFの世界に「ここは一体どこの国なのだろう?」と常識を持って行くのは野暮ですが、欠点らしい欠点は雰囲気とも言える世界の希薄さ以外はとても文章力の高い作品だと感じます。

美しくも静謐で、最低な未来。

シンギュラリティの果ての倫理を踏みにじった世界。

本来なら神のシステムである輪廻をマイクロ化し、あまつさえエゴを練りこんだ「リサイクル」という恐怖。そして戦う人間の熱さ。素晴らしい。大満足の作品でした!

★★★ Excellent!!!

ゴミだけでなく、人すらもリサイクルされる街、游骸町。
ここで「葬儀屋」としての仕事をする主人公、ケイト。
この町で行われているブレスとは一体?
リネットとはどういうシステムなのか?
システムを司るものとは?
そしてケイトとは……。

様々な人物や要因が複雑に絡み合いながら謎が明かされ、一つの方向に収束していく、そんな物語だと感じました。
ぜひ、あなたの目で確かめて下さい。
現在の私たちが送る生活に対し、大きな警鐘と少なからぬ希望を与えてくれる作品です。

★★★ Excellent!!!

文明はかなり進歩している本作の世界。
一見すれば、実現してほしい文明の利器は数多見受けられる。

なのに、描写されている人々は、どこか機械的な印象を受けてしまう。
ページを進める度に、読む者に別世界のようで身近な恐怖を与えることは間違いない。

近未来の世界観やディストピアが好きな方には、是非読んでもらいたい。

★★★ Excellent!!!

生者と死者の境目とは?
なぜ人は生きながら死にゆくのか? 死ねば何も残らぬというのなら、なぜ歴史上に名を遺した者は語り継がれるのか?

まるで一つの生命のように息づき、廃棄物を食らい、平然と存在し続ける町、遊骸町。
死すら管理されるその町で、主人公であるケイトは生きている。
そして、生きている者を導く冒涜的な死の謎を探るため、この町で生き延びることを決意する。


リサイクルネット――リネットの真実は。遊骸町に隠された真実とは。
ケイトの歩みと共に、あなたは目撃することになる。

★★★ Excellent!!!

ゴミを吸収し、住人達の生活に還元する町「遊骸町」。そこで生活するケイトはある日、生きた人間がそのまま町に吸収されている、という衝撃の事実を知る。町に何が起きているのか、博士と呼ばれる人物と共に探り始めることになるのだが……。
ゴミを吸収する町、遊骸町で何が起きているのか?
ケイトは真相に辿り着くことができるのか?

一度読むと、どんどん先を読み進めたくなります!
是非一読あれ!

★★★ Excellent!!!

 一話からさっそく、独特の世界観に引き込まれました。
 技術革新が人々の生活に利便性を与える一方で、町の在り方を蝕んでいく——SFジャンルとして申し分ない世界観に、主人公の人間性がみごとにハマっています。
 退廃的な雰囲気を纏わせる文章に中毒性があり、物語の行く末が気になって仕方ありません。

 読めばきっと、呼吸する町の行く末を見届けたくなるでしょう。

★★★ Excellent!!!

これこれ。こういうSFを読みたかったんだよ。
まず私がこの話の第一話を読んだ感想がそれだった。

現在、第三話まで読了。
あらゆる廃棄物を街が吸収して、市民の生活にそれを還元するという世界観がシャープだ。昨今の環境問題も視野に入れた発想が新鮮で目を奪われた。
さらに、その世界観の中に溶け込む登場人物が最高にイカしてる。ケイトのぶっきらぼうな中に見える人間らしさが生き生きと描かれていて、画面をスクロールする手が止まらない。

もっと読みたい。こんなに面白い話に出会えるなんて。
「呼吸する町」は私にとってそう思わせてくれた作品だ。これからも続きを楽しみにしています。