『さい』有る人の巻きタバコ
あなたと私にどれほどの『さい』があるというのでしょう?
フィルターも無しで吸い込んだ煙はただ、ただ濃く、肺を痛めつける。
咳が否定するように咳こむけれど
それでも吐息は綺麗に染まって世界へと飛び出していく。
指先で持ったそれはシッカリと紙を巻かれ、無駄なく静かに燃え上がっています。
あなたの創り上げたそれを苦しくとも私は味わいます。
ですが私が巻いた煙草はホロホロと崩れていくのです。
ただ誠実に想いを込め、丁寧に拵えたつもりでも、それはあくまで『つもり』でしかないことを残酷なまでに証明してしまう。
乾燥した小片の葉達は炎の残滓を含ませながらはらはらと逃れるように崩れてただ落ちていく。
それを掴もうと手を伸ばしますが、燃えカス達は風に崩れ落ち、空しく霧散していく。
あなたと私、その『さい』の違いは一体どこにあるのか?
問いかけは煙のように空しく。
そして気ぜわしく焦り、苛立つも、ただ風だけが吹き、空は青と黒を繰り返し、ただ一切は通り過ぎていくのです。
立ちすくみ、おっかなびっくりフラフラと彷徨う私を置いて。
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