詩 『孤独に進む道をため息つきながら』

歯痒さと涙滲む辛さに慣れることはない


足が棒になるほど歩いても近づいている確証は永遠に来ない


共に歩く人は不意に居なくなる。


あるいは遥か先へと進んでいってその背中にはいつまでも近づけない。


何故こんなことを?


もう休みたい。 疲れた。 座ろうか?


それでも誰も何も言ってくれない。


ただただこの道は孤独で無機質で分厚い雲に月も見えないくらいに暗い。


けれど、一瞬でも邂逅する人の背中に憧れ、励まされることもある。


雲間の一瞬で月に照らされた景色は美しい。


涙は心が乾ききっていないことの証明で、噛みしめる奥歯の感触は生きていることを表す。


交互に動く足はまだ行けるのだと囃し立ている。


まだ進もうと思う。 休むにはまだ早いと思えるうちは。


さあため息つきながら歩くとしよう。


気づけば口元が緩んで、笑っていた。









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