確かにある一欠片

求めていることにいま気づいたの


それは皆が望んでいるのに毒を含む甘く危険で魅力的


構わないと燃え盛る火の中を走り抜けて掴んだらもう離せないし離れられない


それは誰にもあって誰も手に入らないかもしれないもの


これが本物なのか偽物なのか?


それとも甘い夢という名の幻想だとしても


構わない そんな不安すらも今は感じない


まるで濁流の中の小枝


まるで大雨の中の涙


まるで吹雪の中の溶けた一粒の水滴


有象無象 紆余曲折の中で流されて、紛れて

誰も気づかないほどの僅かなものだとしても


唯一無二で私だけのもの


だから好きなように言って


好きなように晒して


好きなように笑ってくれていい


いずれ沈み 誰も見ることなく気づかない儚いものだとしても


生きてきた私が確かに持った唯一つのそれ


たとえ私が息絶えても確かに存在していたそれ


名も無き凡人で、もしかしたら愚かな私が初めて本気で思った一欠片だから

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