暗闇の中の誰かの手を

世界は黒く包まれて何も見えない。


まるで全てが嘘だったかのように何も無いよう。


それでも盲目の私の手を誰かが取っている。


誰かもわからないけれどその手は暖かだけれど細く儚くて。


この先はどうなっているのでしょうか?


わからない。


もしかしたらこの先導する手は大きな穴へと私を誘っているかも?


もしかしたらそれはずる賢く狡猾な獣で餌場へと私を引きずっているのかも?


いいえ、もしかしたらこの人は私を安らぐ世界へと連れて行ってくれているのかも


答えを問いただしてもそれが真実か嘘かなんてわからない。


怖い。 いっそ離してしまおうか?


けれどこの手を離してしまったら私はどうなるのだろう?


瞳を何度擦っても何も知ることもできない。


だったらこの手を信じていくべきなのだろうか?


やはり勇気を出して一人になるべきなのでしょうか?


問いかけに答える人は居ない。


居てもそれが嘘なのかすら私にはわからないのだ。


わからない。


わからない。


わからない。


離してしまおうか? それとも固く握り締めているべきなのだろうか?


その決断の間で私は恐る恐る歩き続けている。


離そうか?


繋ごうか?


離そうか?


繋ごうか?


きっと私以外の誰かもこの迷いを持って進んでいるのだろう。


どちらの決断が正しいのだろう?


ゴールへとたどり着くその日まではわからない。





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